story.

□1.キミとの出会い
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ーーここは、どこ。


気がつくとここにいた










暗い暗い、森の中
いつからいるのかも分からないし
自分が誰なのかも分からない。


唯一覚えてる名前、それは…









ーーーー
ーーー
ーー



「くう…悟空、おい猿ッ!」

「でッ!!…って、アレ?」

三蔵一行はとある村で夕食中

が、珍しく食事中に居眠りしている悟空に
悟浄は一発、拳を入れた。





「珍しいですね。悟空が居眠りなんて」

心配そうに八戒がそう言えば
うーん。とまた目の前の肉を口に運んだ。



「?」

寝起きだからぼーっとしてるのか。
体調でも悪いのかと八戒は少し心配になる。



「んだよ。何か悪い夢でも見たってか?」




ーー夢。



ピクリと止まる悟空



「そーだ。夢!
夢、見た。」

「夢ですか?」



ガタンとその場を立ち
その先の視線は三蔵へと向いていた。




「うん!なぁ三蔵!」

「何だ。」

「ええと…いや。やっぱいーや!」

「ぁあ?…なら呼ぶんじゃねぇよ」









ーーだって

だって
誰か見つけてって
叫んでる夢を見たんだ。

その場所がまるで…
まるでーー



悟空の脳裏には三蔵と初めて出会った岩牢が浮かぶ。




「…」

真剣に思い詰めた顔をしてる悟空に、
三蔵も何かを察した。



「おい悟…ッ?!」

三蔵が言いかける途中
パリンと窓ガラスが割れた



「何だァ?!」




4人は外へ出て見ると
よく見るいつもの光景が広がっていた。
経文をよこせ。
玄奘三蔵はどこだ。
と妖怪達が騒いでいた。







「全く!空気読めよなお前ら!」



少々苛立ちながら早々と如意棒をだし
戦闘態勢へと移る




「寧ろ空気を読んだ結果でしょう?」

「人気者はつれーなぁ?」

「面倒くせぇ…」





それぞれ一斉に散り、
各々妖怪を倒していく。









「ん。ーーラスト」

悟空が最後の妖怪に如意棒を突き出すと慌てて
『ま、待て!いい事教えてやる!!』と叫ぶ。



「へ?いー事?」

何か裏があるとは分かってるが、
こちらにも聞くだけの余裕はある。
悟空は手を止め話を聞いた。




「あ、あぁ…!
俺も噂しか耳にして無いがこの先の森の奥に500年前から年をとらねぇ人間の女が閉じ込められるらしーぜ。」

「500年…?」



500年と言えば確か自分も…
先程の夢の事もありつい重ねてしまう。
あの中での時間は本当に何もなかったから。



「おう。
そいつの肉を食うと年をとらねぇらしいぜ?」



そんな訳ない。
いつかの妖怪も言っていた。
三蔵を食べれば不老不死になれるって。
誰だって、ただの人間なんだ。




「ーーな?いい事だろ…がハッ!」

「ダセェんだよ。やる事が」

「チッ」



悟浄、三蔵が駆けつけ妖怪を倒した。



「大丈夫ですか?悟空」

「あ、うん!大丈夫。」



先程の妖怪が言った事が気になるのだろうか。
少しボーッとしてしまう。





「あまり気にしてはいけませんよ?」

「う、うん。」









自分達がこの村に滞在すると
また妖怪が襲撃するかもしれない。
4人はジープに乗り換え直ぐにここを出ることにした。




500年前…
悟空は天界で大罪を犯し
俺と出会った五行山に封印されたと、
三仏神から聞いた事がある。
もしさっきの奴の言ってた事が本当ならばーー



考える三蔵だが、
激しいジープの揺れに渋い顔で八戒をにらむ。




「おい八戒…」

「すいません。
どうもこの辺り地盤が緩くて…」

「歩いた方が早いんじゃない?」

「チッ…おい、降りるぞ」



八戒の言った通り地盤が緩く
とてもこの先は車でいけそうになかった









「何かよ。昼間のくせにやけに暗くね?」

「え?悟浄びびってやんの。」

イヒヒと笑う悟空に
その隣を煩せぇサルと悟浄がズカズカ歩く。
今は昼過ぎだが、辺り一面が高い木で覆われ
まるで夜中の暗さだった。









「所どころ崩れやすくなってるので
気をつけてくださいね?」

「ヘーイ。とくに三蔵サマ」

「ぶッコロスぞ」









そう言えば、この森…
俺誰かを見つけなくちゃいけないような
さっきあの妖怪に言われたからか?

いや…違う。
この感じ…


「…あの夢と似てるんだ。」

独り言の様な呟きだったが、三蔵には聴こえていた。
が悟空は同時に身体も一緒に動いていた。






「ごめん!先行ってて!」

「は?って、おい!」

ものすごい勢いで崖を下っていった悟空に唖然とする。



「悟空!どうします?三蔵」

「…放っておけ。」

俺も頭の中では分かってた。
誰かにアイツが呼ばれている事をーー









ーーーー
ーーー
ーー




「ーハァ、スゲェ。」

息を切らし見つけた目的の場所
未だ記憶に残る
暗い暗い、あの場所。



草木を掻き分け、よく見れば
岩で出来た牢屋に
お札が張り巡らされている。



中は暗く何も見えない。
この中に、俺の探してる目的はあるのか。
ゴクリと喉を鳴らし近づいてみる。









ーージャラ

響く金属音









「ーーだれ?」

「ッ!」



お、女の子がいる。
床に伸びた桜色の髪はとても神秘的で
自分をきょとんと見上げて来るそいつを見ると
何だか胸の奥がぎゅっとなる。









「夢の中に出てきたのってアンタ?」

「え?
うーん…違うと思うけど。」



彼女の目線にかがみ、
悟空は優しく問いかけた。
とは言っても自分も夢の事はぼんやりとしか覚えてない。
ただ誰かを見つけなくちゃって気がしたんだ。









「…キミの瞳、金色なんだね。
私と似てる」

そういうと嬉しそうに笑った。
確かに俺の目は金、
彼女も黄色がかった目をしていた。




ーードクン



なんだ?




「なぁ、500年ここにいるって本当なの?」

「500年?うーん。
分からないけど気づいたらここにいたよ。」




自分と同じだ。
500年前の記憶や何故自分がここにいるのか、
時間の感覚とか全く分からなかった。
唯一覚えていたことは…自分の名前。




「あ。だけど!
これだけは覚えてる。
ゴクウ≠チて言う名前」

「……え?悟空…?」

「うん!ゴクウ!
それが誰なのかは分からないけど…
何となく忘れちゃダメな気がするんだ。」




ーーードクン

何だ?



ドクン、ドクン

この感じ前にも。




だけど




「何で俺の名前知ってんの…?」





ーー思い出せない。
















to be continued ...




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