D.G-SS.B
□その“アイ”はどんなカタチですか?
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ふと何の気も無しに抜き取った本のタイトルがそれだった。
ドキリと妙な緊張と、胸の鼓動が速まり、ある一人の人物を脳裏に浮かべる。
「―――……」
薄く開いた唇は音を伴う事は無く、すぐに戒めのように固く綴じられた。
しかし表情は悲しげに歪められ、こんな想いを引き起こした本の表題を指先でゆっくりとなぞる。
「……私達のアイって、何だろうね…神田」
誰に問い掛けるわけでもなく、呟かれた言葉は誰もいない空間へ吸収される。
まるでその問いは禁じられているかの如く…。