D.G-SS2
□Ripe period:PRO
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「あら、ラビ。帰ってたのね」
おかえりなさい、と何の気負いもなく微笑んだ彼女に。
ソレはただの日常なのだと苦笑させられた。
Ripe period
あれは、確か教団に来たばかりの頃。
任務帰りに師と別れ、本部内を闊歩していると見覚えのある後ろ姿を見つけた。
初対面で呼び方をからかって以来、顔を合わせる度に睨まれるが、いちいち反応が面白いのでまたつい声をかけてしまう。
「ユーウ!」
大嫌いなファーストネームで呼んでやれば、相手はギロリとした一瞥のみで応えて足を速めた。
この方向は食堂だろう。
それならばと、こちらも歩く速度を上げて隣に並ぶ。
「ユウも飯? 俺もちょうど腹減ってたから一緒するさ」
返事はない。完全に無視を決め込むことにしたようだが、それくらいで引き下がれるはずもなく。
一息に追い抜き前に回って、にっこりと笑ってやる。
「ほ〜ら、そんなツンケンしないさぁ」
せっかく同じエクソシストなんだからと言えば、向こうはスッと目を細めて。
「……そうだ、エクソシストだ」
だから戦いの為だけに在るのみで、慣れ合う為の集団では無いと言外に断じられて苦笑するしかない。
さて、どう返すかと思った途端、相手の身体が真後ろからの衝撃で、一瞬傾ぐ。
何事かと思えば、その痩躯に小さな白い手が回っていて。
「あら、ラビ。帰ってたのね」
おかえりなさい、と彼の後ろから顔を覗かせたのはリナリーだった。
当然のように背中からしっかり抱きついている少女に、抱きつかれた方は少し眉根を寄せるだけで何も言わず、むしろ見ているこっちが面くらってしまう。
「二人共、ご飯?」
だったら一緒に行きましょと微笑って、くっついていた体を離し、今度はその手を取って引っ張った。
渋面を作る相手に、彼女はにっこり笑う。
「一緒で、いいわよね」
「………………ちっ」
舌打ちをしつつ、けれど繋がれた手はほどかない。
当たり前のように二人一緒に、それも極、自然に彼女の歩調に合わせて動き出す彼らの後ろ姿。
微妙な気後れを感じて、その様子を佇み眺めていると、揺れて振り返るツインテール。
「ラビ? どうしたの?」
「あ、行く行く」
慌てて笑顔を返して、二人に追いつくために足を早めた。
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他者は入りにくいほど仲良しな幼馴染が大好物です。
リナさまは神田さんに抱きつくのが大好きだといい。
神田さんもリナさまの頭撫でてあげるのが実は結構好きだといい。
(な ん て ラ ブ ラ ブ !)