D.G-SS TitleW
□かたっぽピアス
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「あら、リナリーちゃん。それどうしたの?」
「え?」
「ピアス。右側だけ無いわ?」
朝の食堂。
隣に座ったミランダに指摘されて、リナリーは耳に手をやる。
「あ、ホントさ」
「どこかで落としちゃったんですかね?」
向かいに座ったラビ、アレンにも言われて彼女は苦笑を洩らす。
「そうみたい。気づかなかったわ」
「困ったわね。お部屋とかに落ちてるといいけど」
「廊下とかだとちょっと見つけるの難しいですよね、教団は広いし」
ミランダが気遣わしげに頬へ手をあてると、アレンも首を傾げて応じる。
「リナリー、どうよ? どっか心当たりあんの?」
「えーと」
ラビの問いに、どうだったかしらと言うリナリーの後ろで不意に人影が差した。
「おい」
振り向けば、蕎麦を片手にした神田が立っていて、何かを受け取るように促している。
リナリーが手のひらを差し出すと長い指が小さなピアスを摘まんで渡した。
「あ、ありがとう」
「ん」
用は済んだとばかりに踵を返す彼へ、リナリーは慌てて声をかける。
「ねぇ、留め具の方もなかった?」
言われて、足を止め、少し考えるような素振りを見せる神田。それから彼女に向き合って、呟いた。
「…見つけたら拾っといてやる」
「うん。ありがとう」
笑顔で頷くリナリーと、何事もなかったように適当な席を見つけて蕎麦を食べ始める神田。
それに『よかったわね』とのほほん微笑むミランダを別として、他の二人は内心で冷や汗を垂らしまくっていた。
かたっぽピアス
つまり、それって
どういう意味です?
つまり、それって
…そういう意味だろ
end.
2008.8.15
捜索範囲はユウくんの部屋限定(笑
神リナ☆イノセンス
Title by 『Word Cascade』緋羽りつや様