D.G-SS.B
□コ ダ マ する 声
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「…リー、リナリー」
呼ばれて、重たい眠りから覚めると科学班員の苦笑が視界に広がった。
「あ、ごめん。私寝ちゃ…っ」
慌てて起き上がろうとすれば、大きな手に肩を叩かれる。
「もう休め、リナリー」
ここはいいから、とリーバー班長も笑う。
「でも…」
手伝わせて、と言いかけた所で『顔色が悪いぞ』とそっと囁かれた。
ハッとして顔を上げれば子供をなだめる、大人の笑みがそこにある。
「お前さんの役目は翌朝の死んでる俺ら叩き起してコーヒー配ることだろ」
「そうそう」
「よろしくなー」
「…うん。了解」
次々に声をかけられ、笑い声に背を押されて研究室を出た。
静寂と闇を湛えた通路に一歩、足を踏み出して。
皆のいる場所を振り返らないようにして俯く。
…最後、笑えていただろうか。
全身が強張っているのが自分でもわかった。