D.G-SS

□りにゃりー物語
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とてもとても天気の良い日曜日。

リーさん家のリナリーはごきげんで、うーんと伸びをするとおうちの猫用出口からお外へと出ました。

せっかくの休日なのですが、高名な科学者であるコムイ兄さんは研究所でお仕事中。

けれどこんなに気持ちのいい日にただ御留守番しているだけというのももったいないので、しっぽをふりふりお散歩です。

リナリーのおうちはマンションの最上階。

ちなみに建物自体がコムイさんの持ち物なので、リナリーには敷地内全部がお庭も同然です。

ちょこちょこと階下へと降りていくと、廊下でお友達に出くわしました。

「リナリーじゃないですか」

お散歩ですか?と物柔らかな笑顔で挨拶してくれたのはアレンくんです。

このマンションの住人で、養父で科学者のマリアンさんと二人暮らし。…とは言っても、マリアンさんの方はほとんど家に帰ってこないので実質一人で生活しているようなものなのですが。

時々、新しい借金の督促状が届くのでとりあえずは生きているようだと、彼が怒りを滲ませた黒い笑顔で言っているのをリナリーは見たことがあったりなかったり。

とりあえず、養父のことが絡まなければ礼儀正しい、優しい少年なのでリナリーはアレンくんが大好きです。

アレンくんもリナリーのことを好きなようで、会うといつもこうして遊んでくれます。

「あ、しまったもうこんな時間だ! バイトが!!」 

けれど今日は時計を見て、急に慌てだしたアレンくん。何か用があるようです。

「ごめんなさい、リナリー! 僕、ちょっとバイトで。それじゃあまた!!」

わたわたと挨拶をして駆け出していくアレンくん。

どうやらお仕事があるみたい。

何せ、保護者が前述のような人物なので、彼には満足な仕送りなどありません(むしろその逆)

家賃の方はコムイさんの厚意でタダ同然なのですが、生活費だけはそうもいかないのです。

「わー! 遅れたらマザーにぶっ飛ばされるよ〜!!」

齢15歳にして、すでに苦労人のアレンくん。

リナリーは遠ざかっていく背中にしっぽをゆらゆら頑張ってね、とエールを送って、お散歩の続きに戻ることにしました。



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