D.G-SS

□11月22日
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「…ねぇ、兄さん」

「何だい? リナリー」

仕事に一応の区切りをつけてのブレイクタイム。

淹れてもらったコーヒーにコムイが口をつけていると、かの妹が可愛らしく首を傾げながら訪ねてきた。

「お父さんとお母さんって、どんな夫婦だったの?」

物心つくかつかないかの時期に両親を殺されたリナリーにはあまり二人の記憶がない。

だから彼らはいつだって兄の話の中で語られるイメージで出来ている。

「父さんと、母さんかい?」

ふわり、と微笑むコムイ。

リナリーは兄のその顔が大好きだった。

だって、言葉よりも何よりも、その表情が如実に両親の様子を物語っていたから。












―コンコン

ノックをして、勝手知ったる部屋の中へと入っていく。

そこでは寝台に腰掛けた彼が愛刀の手入れの最中で。

ちらりと向けられた視線に笑みを返すと、部屋の主はすぐに作業へ戻ってしまう。

けれどそれは、ここに居ていいと好きにしていいという彼の態度の示し方だったから、少女は遠慮なく寝台に歩み寄って隣に腰掛けた。

二人分の体重を預けられて揺れるスプリング。

リナリーは邪魔にならないようにそっと彼の肩に頭を乗せて寄りかかった。

「…何だよ」

「ううん?」

どこか楽しげにくすくすと笑っていると神田の視線が寄越される。

言葉を促されているのだと気が付いて、彼女は口を開いた。

「あのね、兄さんにお父さんとお母さんのことをちょっと訊いたの」

静かに合わされる瞳が嬉しくて、リナリーはますます笑みを深くする。

「とってもね、仲のいい夫婦だったって」

素敵でしょう? いいなぁって思ったの。

幸せそうに、誇らしげに語るリナリーとそれを眺める神田と。

「…そうか」

「うん」




―よかったな




実際には口に出されなかった言葉だけれど、彼の瞳がそう言っているのを感じて。

彼女も言葉の代わりに、目一杯の笑顔を返した。








END

2008.11.22





ブログ掲載SSでした
11月22日=「イイ夫婦の日」

私の中での二人は、どこまでも天然で熟年夫婦です
(付き合っていても、いなくても)←ここ重要。

ビバ☆無自覚天然熟年バカップル

こんな二人はいかがでしょうか?
(美味しく召し上がれv)

蜜村がお送りしました
お付き合いありがとうございましたv








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