D.G-SS

□時速1センチの恋
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新天地のホーム。新しい図書館。

未だ整理のつかない資料の束を持って、科学班の二人は中へと足を踏み入れた。

以前の建物と趣きこそ違うものの、詩々の匂いが広がる空間は共通だ。

各所に置かれた机と椅子にはちらほらと人影がある。

そんな中で、ジジはある場所に目を留めた。

奥まった一角。静かな佇まいの中に見慣れた姿がある。

報告書らしきものをまとめている神田と、その隣で本を読んでいるリナリーと。

恐らく、彼の用が済むのを待っているのだろう。

その後お茶をする約束でもしているに違いない。

…いつもそうだったから。

見た目こそ多少成長していても、あそこに居るのは自分のよく知る二人だった。

ジジはこっそり笑って、ジョニーと共に部屋を出ていく。

廊下で、笑いを噛み殺しながらそっと昔からの同僚に尋ねた。

「なぁ、結局の所、あいつらどこまで進んだんだ?」

「へ?」

本部から離れて2年あまり。

きっと自分の知らないエピソードも量産されているだろうと思い、訊いてみたのだが。

訊かれた方は何のことだが分からないとばかりに瞬いてから、その後に頼りなく笑った。

「あー、うん。見ての通り?」

「見てわかんねぇから訊いてんだろーが」

「…いや、だから。その…まんま?」

あはは、と乾いた笑いが廊下に漏れ響いて、ジジが愕然となる。

「…進んでねぇのか?」

「……具体的には」

その回答に、質問した側はたっぷり30秒ほど沈黙してから呻く様に呟いた。

「………信じらんねぇ」

あいつら、もう18と16だぞ!?

「いや、あのジジ。声大きい…」








時速1センチの恋





かーッ、これだから教団印の純粋培養は!!

…それだけじゃないと思うけどね










end.


2008.1106







進んじゃってる神リナも
全然進まない神リナも好きです。

今回はどうだか分かりませんが・笑
…内緒でつきあってたりして。

管理人はどうも神リナを周囲の人視点で書くのが大好きのようです。






神リナ☆イノセンス

Title by 『PARISO』様










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