D.G-SS

□ひびわれフィルター
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第一印象は、はっきり言ってサイアクだった。



ひびわれフィルター



『さあ、デイシャ。これからここが君のもうひとつのホーム(故郷)だ』

元帥に連れられて、行き着いた先。黒の教団。

何というか、とにかく辛気くさかった。

そこで紹介されたのが兄弟子二人。

『ノイズ・マリだ、よろしく』

もの柔らかに笑って、手を差し出してきた奴はいいとして。

問題はちょうど俺と同じくらいのもう1人。

端的に、一言で名乗った後はぷいと向こうを向いて話にのっても来やがらない。

(…何、コイツ)

女みたいな顔ながらも同い年くらいの男ってことで少し期待した分、ムカついた。

…スカしやがって。

新入りなんて、相手にもしないってか?

いい度胸ジャン。

元帥の説明を聞き流しながら、どう、奴に思い知らせてやろうかと思案。

(こーゆーのは初めが肝心ジャン)

そんな時、急に軽快な足音が響いて、飛び込んできた何かがその女男にぶつかって止まった。

顔を顰める奴の背中にへばりついた何かは、そろそろと動いて、こちらを伺うように顔を覗かせた。

それは、女の子だった。

俺らよりちょっと小さめの。

『おや、リナリー』

元帥が声をかけると、更に少し奴の背中から顔を出す。

けど。俺と目が合うと、またパッと奴の背中にしがみつき直した。

…何なんだ。

『紹介するよ、リナリー。デイシャだ。新しい仲間だよ』

『…よろしく、ジャン』

元帥の言葉に乗って挨拶すれば。

その子は奴の後ろから、はにかみながらも嬉しそうににっこり笑った。

照れの中にも好奇心が見え隠れする瞳に、自分の妹を思い出した。

そしてよく見れば、同じような髪の色に同じような東洋系の整った顔立ち。

加えてベッタリとくっついてるその所作から、兄妹なのかと思ったら

『デイシャ。こちらはリナリー。君と同じエクソシストで、』

元帥がにっこり笑って

『ユウくんのお嫁さん』

…と紹介した。

……………あァ?

『元帥!!!』


オレが目を点にすると同時に響き渡る怒号。

反射的にそっちを見れば、眉を釣り上げた奴がいる。

『…その変な紹介止めて下さい』

『何故だい? 嘘は言ってないよ』

ねぇ、リナリー。

と、話をふられた方の少女は分かってるのかいないのか、ただひたすらにニコニコしている。

『お前も何か言えよ!』

『コラ、ユウくん。女の子にそういう言い方はよくないよ』

ごめんね、リナリー。不束な息子だけど宜しく、なんて頭を下げてる元帥と、それを受けて、いえいえこちらこそとばかりに頭を下げ返している彼女と。

…何なんだこの状況。

フザケて…んジャン?

ちょっと対応に困って視線をさ迷わせると、真っ赤な顔した奴と目が合って、思いっきりそっぽを向かれた。

……えー…っと…

そいつの後ろ髪を見ながら頬を掻けば、最年長の兄弟子が笑って言った。

『…まあ、そんな感じだ』




ひびわれ
フィルター




…実はすげー分かりやすい奴…ジャン?






END.2008.9.5











ブログ掲載SSでした。

神田に対する色眼鏡(偏見・誤解)って、ティエパパとリナリーがいれば容易く瓦解するという話

ティエパパは教団一の神リナ推奨者であって欲しいです

リナリーは息子の嫁なんだ(笑)

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