D.G-SS

□砂糖菓子、三日目
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―トン!


カシャン、カタン




人の集まる昼の食堂。隣に座った二人の肘がぶつかって、それぞれフォークと箸を落としかける。

「…何だよ」

「…何よ」

お互いに、呟いて。それっきり無言。

謝る言葉もなく、各々にそっぽを向いて。

…あー……。

ここらへんの音だけ聞くと、まるで一触即発か!?的な場面に思えるんですけど。

神田もリナリーも心持ち、目の下あたりをほんのり染めて。無理やり眉間に力を入れて如何にも照れてますって顔するもんだから。

うわぁ。

なんつーか、もう。

見てる方が恥ずかしいって、正にコレ。

向かい合わせのテーブルで、至近距離に見せ付けられてる俺は二人の空気に窒息しそう。

どうしようもなく甘ったるいさね。むしろカユイ。むず痒い。

この御二人がいわゆる甘酸っぱい関係になって、今日で三日目。

別にそうなったって、直で聞いたわけじゃないけど。二人が二人とも、その行動が砂糖まみれにぎこちないのでハッキリ言ってバレバレなのだ。

そのせいで、俺はもう何度クチから砂糖を吐いたか知れマセン。

砂じゃないよ、砂糖だよ。

それも極甘極上、超濃厚だよ。

おかげさまでブラックコーヒーしか飲めなくなってる。いや、むしろエスプレッソ来い、な感じで。

当分、甘いもんは食えそうにない。食傷気味とはよく言ったもんだ。

溜め息を噛み殺しつつ、自分の隣で大量の料理を頬張る同僚にちらりと目を向ける。

平然としていつも通りに食事を進めているように見えるけど、なんとなくメニューに偏りがあるように思えた。

…何つーか、甘さ控えめ?

あんなに好きな、みたらしだんごの本数まで減っているのは気のせいじゃないだろう。

そんなアレンは、辛めで、と注文していたトムヤムクンを一息に流し込むと俺に向かってニッコリ笑った。




砂糖菓子、三日目




コムイさん、呼んできましょうか?

待て待て待つさ! アレン!
いや、黒アレン様!




end.


2008.6.3

この人たちの作り出す砂糖菓子なら百日分でもドンと恋(乞い/来い)

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