D.G-SS TitleW2
□姫君とライオン
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「ミランダ、何やってるさ?」
「トランプ・・・じゃあないですよね」
談話室にて。
合同任務の報告書をまとめていたラビとアレンは、部屋の隅で本を片手に何かやっているミランダの手元をのぞき込む。
「ちょっと古道具屋さんで見かけて」
綺麗だから買ってきてしまったの、と彼女は微笑んだ。
テーブルに広げられているのは古びた木箱に入れられていた、幾枚ものカードで。
「タロット、だよな?」
「…なんかどっかで見かけたことはあるような気がします」
「ふふ。いっぱいあって、面白いでしょう?」
そう言うミランダの持っているのはタロットの解説書だ。占いではなく、カードの意味などの概要が書かれているもので、それをのんびり読んで楽しんでいるらしい。
「こりゃー木版画さね」
17世紀くらいのかなと、ラビが1枚を取り上げて矯めつ眇めつ、手の上で弄ぶ。
年代物にしては色も鮮やかで、確かに女性が気に入りそうな代物だ。
アレンも同じく、繁々とカードを眺めていたが、やがて大アルカナの一枚を拾い上げて首を傾げた。
『女帝』などの豪奢なカードに比べ、シンプルな服装の女性が描かれ、素手で獅子をあやすような様が見て取れる。
「Strength―“力”、のカードだろ」
博識なラビが指摘するが、アレンは黙ったまま、おもむろに背後を振り返った。
ラビとミランダも後に倣う。
視線の先には神田の背中と、同じく隣に並ぶリナリーの背中とがあって。
「―もう、そんなふうに言わないの」
窘める口調に、神田は舌打ちをして顔をそむけるが、彼が彼女の意思を諒解してくれることが分っているのか、リナリーは小さく笑って返すのみである。
「「「…………………」」」
姫君とライオン
みなまで言うな、アレン
俺だってそう思うさ
・・・ですよね
end.2009.0709
お題サイト『僕は誰より寂しいウサギ』さまより拝借
タロットの「力」のカードって神リナっぽいなと。
女神ではない、ただの人間の女性が無限の力を持って獅子をうまくいなしてるわけです。
エクソシストとは関係ない、個人のリナリーが神田さんとかコムイさんとか抑えてるのによく似てる気が…
ちなみにトート・タロットって、アレイスター=クロウリーが作ったらしいですね
余談ですが〜