D.G-SS TitleW2
□子供のころの話
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足早に待ち合わせた食堂へ行くと、珍しい光景に出くわした。
午後のお茶をしているらしいリナリーとラビに、恐らく鍛錬か何かで昼食がずれ込んだんだろう神田が同じテーブルについていた。
リナリーが楽しそうに話しているのはいつものことだが、神田までしかめっ面ながらも、何やかやと言葉を返している。
普段なら、一緒に食事を摂ったところで会話には加わらず、黙りこくっているくせに。
はてなと思いながらも、時間に遅れている事は確かなので、おずおずと横から声をかけてみる。
「お話し中、すみませんけど…ラビ?」
席の関係で一人、こちらに背を向けていたラビは振り返るなり、救われたような顔になった。
何というか、まるで暗がりの中で光明を見出したかのような。
…何なんだ?
「あ、じゃあ。俺、アレンと手合わせの約束だったんで」
言って、そそくさと立ち上がり食堂を後にしようとする彼へ、リナリーは手を振り神田は興味なさそうに食事を再開する。
やがて廊下へ出ると、ラビは壁に手を付きずるずると脱力した。
「………助かったさ、アレン」
「どうしたんですか? 一体」
「いやその何つーか…」
歯切れ悪く、彼がぽつぽつと説明したところによると。
食堂で時間を潰している間に、ひょんなことから昔の、『思い出話』になったのだという。
「そんでつい、リナリーたちはどうだったんー?…なんて、話ふったらさ」
引き攣った笑いを浮かべながら言われて、驚きに目を剥いた。
心底から呆れ返って、思わずまじまじと翡翠の瞳を覗きこんでしまう。
「…バカですか?」
「言わんといて」
こちらの正直な感想に、彼はがっくりと肩を落とす。
だってそんなの、わざわざノロケを聞かせて下さいと頼みこんでるも同じことだ。
それもあの二人の場合、お互いに無自覚ときているから究極レベルに性質が悪い。
実際、今にも砂塵と帰しそうなラビの様子がその濃厚さを物語っている。
「それは何て言うか…まぁ、お疲れ様です」
「まったくさ…」
遠い目の同僚と並んで廊下を行きながら、揃って溜め息。
あの二人に対して、『子供のころの話』など乞うものでないと、心に決めた瞬間だった。
END 2009.5.25
お題/配布:『楽譜。』さま
http://score.2.tool.ms/
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ビ☆バ ・ 無 自 覚 バ カ ッ プ ル
蜜村は、神田さんとリナリーの『幼馴染バカップル』テイストが大々好物です
ああもう、ずっとやってればいいさ!!
周り中が砂糖を吐きつつ全滅するまで!!!!
(究極の大迷惑)
でも神リナファンって、そういうものですよねっ(・▽・)/
(むりやり賛同者を募ってみる)