SS.30
Fetishism〜Ver. Gladiolus〜
「グーラディオっ」
王都城を出て、広い道を横切ろうとした所で、小さな衝撃と共に陽気な声で名前を呼ばれた。背中に抱きついた体はいやに熱い。首を回して見下ろせば、へらへらと笑う彼女からはアルコールの香りがしている
「随分飲んだんだな」
「へへー、全然序の口ですよぉ」
「ご機嫌そうで何よりだな。誰と飲んでたんだ?」
「今日はクロウ達と!途中でドラット―将軍も合流して、ガラードのワイン飲ませて貰っちゃった!」
「へぇ、珍しいな。あの堅物将軍が」
「女の子には優しいんですって!」
道理で上機嫌なわけだ、酒の中でも特にワインを好む彼女は珍しい種類に大層喜んだのだろう。そして体質上、翌日までしっかり残る事も忘れ、口触りの良いワインを煽る様に飲んだ彼女は今に至る。普段はしっかりしている癖に、妙なところで抜けている彼女を引き剥がそうと、グラディオラスが腹に回った腕を掴んだ
「おら酔っ払い、放せって」
「やぁだ。ね、グラディオは帰り?一杯どう?」
「何言ってんだ、まだ飲むつもりかよ・・・。明日後悔しても知らねぇ、ぞっと」
「きゃあ!」
難無く解かれた腕を引かれ、浮遊感と共に視界がぐんと高くなる。グラディオラスの肩に担がれる様にして、彼女は抱き上げられていた。不安定なその体勢に頭へしがみつくと、尻がスカートの上から撫でまわされた
「ちょ、ちょっと!グラ、・・・やっ!降ろして・・・!」
「相変わらず良いケツしてるよな」
「バカ!」
「デカくて色っぽいのも良いが、お前のみたいに小尻で締まってるのも好きだぜ」
「グラディオの好みなんて、興味っ、ない!」
無遠慮に荒々しく撫でられ、時折柔らかさを楽しむ様に指を食い込ませるグラディオラスに、バタバタと足を揺らして抵抗するが、アルコールで仕上がった身体に急激な運動は逆効果だった。脳がクラクラと回り、全身が鉛の様に重くなった
「う・・・っ、やば・・・飲み・・・過ぎた、かも・・・」
「だから言っただろ?吐きそうか?」
「うぅん・・・目、が・・回る・・・」
「家まで送って行ってやるよ。明日は覚悟しとくんだな」
「はぁー・・・、ご迷惑、おかけします・・・」
「礼はいいぞ」
「?」
「家に着くまで、俺は俺で堪能させてもらうからな」
硬い掌が軽くヒップを叩くと、ビクリと震えた彼女から弱々しい抗議と、続いて頭に響く痛みにうめき声が聞こえた
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女の子の身体なら全部大好きグラディオさん、王道でお尻とか好きかなぁ、と。彼のマッチョな肉体に抱っこしてもらうのがとても好きなのですよ
Fetishism〜Ver. Prompto〜
「プロンプト君、ちょっと言い難いんだけど・・・、恥かしい、から・・・止めてくれないかなぁ、なんて・・・」
「やだ。何でもしてくれるって言ったじゃん」
背後から抱きしめられた彼女は、頬に触れる金髪に小さな溜息を落とした
彼女がプロンプトに囚われる一時間前、ちょっとしたお手伝いの見返りを要求したプロンプトに笑顔で快諾の返事を返した自分が恨めしかった。プロンプトの提案したお願いは一つ、満足するまで抱きしめさせて欲しい、ただそれだけだった
思春期の少年らしく、イヤらしい事は絶対しないから!と、顔を赤くしたプロンプトが両手をぶんぶんと振っている姿からは、今の状況は想像も出来ないだろう
かくして、彼女は白い腕にガッチリと抱きしめられソファーに座るプロンプトに凭れかかっている。時折すんすんと鼻を鳴らして匂いを嗅ぐ仕種が無性に羞恥心を煽っていた
「に、おい嗅ぐの 、イヤだよ・・・」
「大丈夫、すっごくいい匂いするから!」
「そういう事じゃなくて・・・」
いくら諭してもプロンプトはぐりぐりと鼻先押し当てて肺一杯になるまで鼻腔を擽る香りを楽しんでいる
道すがらにふわりと香るのと、意識して身体を嗅がれるのでは恥ずかしさの度合いが違う。それもこれだけ密着して、プロンプト曰く、一番甘さが強い首筋にぐいぐいと抱きつかれては、逃げる事も出来ずにされるがままだ
「はぁー、すっごい安心する・・・。ずっと気になってたんだよね」
「何を?」
「ん、いつも通る度に甘い匂い、って言うのかなぁ。すごくいい匂いがしてさぁ。でもノクトやイグニスに話してもそんな事無いって言われるし。最後には変態扱いされて、すっげーショックだったんだけど!」
「私はなんだか複雑な気分だわ」
「でもやっぱり甘い匂いするしさー」
「・・・そうなの?自分じゃよく分からないけど、シャンプーかしら」
「うーん・・・?フェロモンとかだったりして!」
「フェ、・・・っ」
「そ!しかも同じ人間だけじゃなくて異性の動物まで惹きつけるらしいよ!」
「そんな知識いったい何処で・・・」
「生物学の授業!それ聞いて、俺ピンと来ちゃったんだよねぇ。俺さ、一目惚れってやつ、しちゃったかもしれない!」
学んだばかりの知識を披露するプロンプトの声は得意気で、恥じらいを含む事も無く、真っ直ぐな言葉に合わせて抱きしめる腕には強さが増した
「あぁ〜やっぱり俺、すっごい好きだなぁ」
プロンプトの腕の中で真っ赤に顔を染めた彼女は、後ろからじゃれついているのは大きな犬だと自分に言い聞かせ、湧き上がる羞恥心を抑え込む様に固く目を瞑ってプロンプトが満足するまで、身を硬くして耐えるしかなかった
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キャンキャンとじゃれるプロンプト君。でも男の子なので攻める時はガラリと雰囲気が変わっちゃう、そんなスイッチが匂いだったらワンコだなぁ
Fetishism〜Ver. Cor〜
「コル将軍!すみません、遅くなりました」
ヒールの音を鳴らしながら小走りで駆け寄った彼女を片手で制す。昼食を一緒に、と誘ったのは珍しくコルの方だった。会議の書記として議事録を残すために出席した彼女は、会議の合間に長引いている事をメールで伝えてきた
気にするな、ゲートで待っている。それだけを手早く返すと、手持ち無沙汰になったコルは木陰の壁に寄りかかって目を閉じる。そんな姿を見ていたゲート警備の衛兵は、ルシスが誇る不死将軍が何かを思い詰めているのかと、不安を掻き立てられたが、小走りで駆け寄る人物に、納得したように息を吐いた
「全然終わる気配が無くて、ドキドキしちゃいました」
「そうか、ご苦労だったな」
「ふふ、いつもの通り最後はレギス陛下をクレイラス様が言い包めて終了しましたよ」
「・・・いつになったらあの二人は落ち着くのやら」
呆れた様に吐き捨てるコルに、彼女は思わず素直が感想が漏れる
「コル将軍だってお二人と一緒にいる時は子供みたいですけど・・・」
「何?」
「いいえ、なんでも!さて、何処に行きましょう・・・!!」
チラリと鋭い視線を向けられ、彼女は慌てて首を振って昼食の店選びに話題をすり替えた。あれもこれもと、楽しそうに言葉を紡ぐ、唇には珍しく濃い目の色が乗っていた
「・・・新しい口紅、か?」
「えっ!あ、はい、そうです・・・。でも、よく気付かれましたね?」
「いつもは薄い色ばかりだろう?珍しいと思っただけだ」
「これ、頂き物なんです。薔薇から抽出した色素を使っているらしくて、唇の温度で色が変わるらしいんですけど、似合いませんでしたか?」
「いやそんな事は無い」
「そうですか、良かった」
コルの言葉に笑顔を向ける彼女の唇は瑞々しく潤い、ふっくらとして目が離せなくなる。無意識に細い二の腕を掴み、顎を掴むと彼女の瞳が揺れた。この場をどうしようかと逡巡する暇を与えず、コルが吸い寄せられる様に唇を重ねた
ついばむ様に食む唇から薔薇の香りがただよい、脳に 焼き付けられていく。驚いて一歩引いた彼女を引き寄せると、夢中で柔らかい感触を貪りつづけた
漸く離れたコルの唇には薄っすらと薔薇色が移り、その色が妙に艶めかしく見えて心臓が音を立てた
「しょ、将軍・・・っ」
「・・・ご馳走様」
「っ、信じられない・・・!ご飯はこれからですっ!!」
先顔に集まる熱を誤魔化す様に、先を歩くコルの後ろを追いかけていく彼女。そんな二人の姿を一人覗き見していた、不運なゲート警備の衛兵は顔を赤くし、今見た光景を記憶の奥底へと押しやって厳重に蓋をした
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コル将軍がムラムラとして、思わずチューしちゃう、とか。お揃いの色に染まった唇に周囲が色めき立ってると可愛いですね
fetishismシリーズ
グラディオラス 尻
プロンプト 匂い
コル 唇 …でした。