長編[ギルバート]
□歯車
2ページ/11ページ
ラケル「やがて、雨が降る・・・」
ロミオ「・・・・・・あれ・・・あの雲・・・赤い・・・」
ジュリウス「赤い雨・・・!全員、中央シェルターへ急げ!!」
ミコト「ロミオ先輩!」
ロミオ「お前ら、先に着いてたのか!」
ミコト「はい」
ロミオ「天気予報の精度、上がったんじゃなかったのかよ・・・!?」
ミコト「っ・・・」
ロミオ「ジュリウスで最後?」
ジュリウス「ああ、最後だ。ブラッドβ、聞こえるか?状況を報告しろ!」
ユノ「こちら照合すればいいんですね?私、中確認してきます」
ギル「ああ、頼む」
シエル『こちらブラッドβ、敵残数1体です』
ジュリウス「シエル、どこでもいい。シェルターまで撤退しろ!赤い雨が来るぞ!」
シエル『了解、撤退します!』
ミコト「・・・」
ラケル「雨は降り止まず・・・時計仕掛けの傀儡はきたるべき時まで・・・」
ロミオ「コウタさん聞こえる?今どこ?」
コウタ「こちらコウタ。周辺住民の護送が終わりそうだ!あとは神機兵に任せて、退却する!」
ラケル「ーー眠り続ける」
プシュ
ロミオ「神機兵が・・・止まった・・・?」
フラン『フライアから緊急連絡、全ての神機兵が停止していきます!現時点で、原因は不明・・・』
コウタ『全極東支部員に告ぐ。全員作戦を中止し、直ちに撤退しろ。第一部隊隊長の権限において命じる、撤退だ』
ジュリウス「ロミオ、名簿の照合急げ!」
ロミオ「あれ・・・北の集落の人達・・・じいちゃん達がいない・・・」
ガガッ
『ーー誰か・・・聞こえるか・・・頼む・・・』
ジュリウス「聞こえるぞ!どうした!」
『ああ助けてくれ・・・ノースゲート付近・・・白いアラガミが、うああっあっ』
ジュリウス「・・・っ!」
ロミオ「じいちゃん、ばあちゃん」
ジュリウス「ーーああ。中央シェルター、“赤い雨”が降り始めた」
目の前で降り始める、赤い雨
ロミオが次に目にしたのは、壁に掛かっている防護服
ジュリウス「極東支部まで撤退するか、無理せず雨宿りさせた方が・・・」
ロミオ「ジュリウスごめん!俺、ちょっと行ってくる!」
ギル「ロミオ!!何してんだバカ!」
ジュリウス「待て。俺が連れ戻す。ミコトとギルは、ここでアラガミの侵入を食い止めてくれ」
防護服を羽織り、ジュリウスはロミオの後を追った
ギル「ーーチッ。オペレーター、うちの隊長とバカがひとり“赤い雨”ん中飛び出しちまった。回収班の用意頼む」
ミコト「・・・・・・」
ラケル「ああ、やはり・・・貴方が“王のための贄”だったのね・・・ロミオ・・・」
ギル「オペレーター!悪ィ!バカをひとり追加だ!」
出入り口には、先程まであったミコトの姿がなかった
防護服はもう1枚もない上、他のゴッドイーターもここにはいない
ギルまでもがここを離れることは、状況的に不可能だった
防護服を羽織ったミコトは、神機を片手に走り回る
せめて車があればと、周りを探しながら走る
その途中、1本隣の道にーーアラガミの小型種の群れを見つけた
ジュリウスの言葉を思い出し、食い止めなければとーーそれに向かっていった
またギルにうるさく言われんだろうなー
シエルには「“規律”の授業を増やすべきですね」とか言われそう
こういう時に限って悪乗りするミコトは、小悪魔みたいな笑顔で笑ってるだけだし
ナナは、チキンで許してもらうとして
ジュリウス・・・
・・・・・・
ーーいいや
とにかく、アレだ
謝ろう
また勝手に飛び出してごめん
心配掛けてごめんって
帰ったら、ちゃんと謝るからさ
ガルムを前にし、神機を構えるロミオ
だがその想いは、ここでーー
ヒバリ「ガルムに結合崩壊!依然、マルドゥークと思われる反応が周辺にあります!気を付けてください、ロミオさん!ガルム、活性化します!」
ガアッ
ドッ
ロミオ「!?」
ガルムを下から斬り上げたのは、追い掛けてきたジュリウスだった
ロミオ「ジュリウス!?バカ!なんでお前まで来てんだよ!!」
ラケル「ロミオ・・・あなたはこの世界に新しい秩序をもたらすための礎。あなたのおかげで、もうひとつの歯車が回り始める・・・」
とうとうふたりの目の前に、マルドゥークが姿を現した
ラケル「ああ・・・ロミオ・・・あなたの犠牲は、世界を統べる王の名のもとに・・・きっと未来永劫、語り継がれていくことでしょう。おやすみ、ロミオ・・・“新しい秩序”の中で、また会いましょう・・・」
目の前で気を失っているジュリウス
ロミオはひとりで戦い続ける
しかし、ひとりでは到底勝てるはずもなく、ボロボロになっていく
走馬灯のように頭の中を駆け巡る、これまでの記憶・・・
ロミオ「うおおおおお」
ーーロミオの血の力が、覚醒した