長編[ギルバート]

□歯車
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ラケル「やがて、雨が降る・・・」






ロミオ「・・・・・・あれ・・・あの雲・・・赤い・・・」



ジュリウス「赤い雨・・・!全員、中央シェルターへ急げ!!」



ミコト「ロミオ先輩!」



ロミオ「お前ら、先に着いてたのか!」



ミコト「はい」



ロミオ「天気予報の精度、上がったんじゃなかったのかよ・・・!?」



ミコト「っ・・・」



ロミオ「ジュリウスで最後?」



ジュリウス「ああ、最後だ。ブラッドβ、聞こえるか?状況を報告しろ!」



ユノ「こちら照合すればいいんですね?私、中確認してきます」



ギル「ああ、頼む」



シエル『こちらブラッドβ、敵残数1体です』



ジュリウス「シエル、どこでもいい。シェルターまで撤退しろ!赤い雨が来るぞ!」



シエル『了解、撤退します!』



ミコト「・・・」






ラケル「雨は降り止まず・・・時計仕掛けの傀儡はきたるべき時まで・・・」






ロミオ「コウタさん聞こえる?今どこ?」



コウタ「こちらコウタ。周辺住民の護送が終わりそうだ!あとは神機兵に任せて、退却する!」






ラケル「ーー眠り続ける」






プシュ



ロミオ「神機兵が・・・止まった・・・?」



フラン『フライアから緊急連絡、全ての神機兵が停止していきます!現時点で、原因は不明・・・』



コウタ『全極東支部員に告ぐ。全員作戦を中止し、直ちに撤退しろ。第一部隊隊長の権限において命じる、撤退だ』



ジュリウス「ロミオ、名簿の照合急げ!」



ロミオ「あれ・・・北の集落の人達・・・じいちゃん達がいない・・・」



ガガッ



『ーー誰か・・・聞こえるか・・・頼む・・・』



ジュリウス「聞こえるぞ!どうした!」



『ああ助けてくれ・・・ノースゲート付近・・・白いアラガミが、うああっあっ』



ジュリウス「・・・っ!」



ロミオ「じいちゃん、ばあちゃん」



ジュリウス「ーーああ。中央シェルター、“赤い雨”が降り始めた」



目の前で降り始める、赤い雨



ロミオが次に目にしたのは、壁に掛かっている防護服



ジュリウス「極東支部まで撤退するか、無理せず雨宿りさせた方が・・・」



ロミオ「ジュリウスごめん!俺、ちょっと行ってくる!」



ギル「ロミオ!!何してんだバカ!」



ジュリウス「待て。俺が連れ戻す。ミコトとギルは、ここでアラガミの侵入を食い止めてくれ」



防護服を羽織り、ジュリウスはロミオの後を追った



ギル「ーーチッ。オペレーター、うちの隊長とバカがひとり“赤い雨”ん中飛び出しちまった。回収班の用意頼む」



ミコト「・・・・・・」






ラケル「ああ、やはり・・・貴方が“王のための贄”だったのね・・・ロミオ・・・」










ギル「オペレーター!悪ィ!バカをひとり追加だ!」



出入り口には、先程まであったミコトの姿がなかった



防護服はもう1枚もない上、他のゴッドイーターもここにはいない



ギルまでもがここを離れることは、状況的に不可能だった



防護服を羽織ったミコトは、神機を片手に走り回る



せめて車があればと、周りを探しながら走る



その途中、1本隣の道にーーアラガミの小型種の群れを見つけた



ジュリウスの言葉を思い出し、食い止めなければとーーそれに向かっていった




















またギルにうるさく言われんだろうなー



シエルには「“規律”の授業を増やすべきですね」とか言われそう



こういう時に限って悪乗りするミコトは、小悪魔みたいな笑顔で笑ってるだけだし



ナナは、チキンで許してもらうとして



ジュリウス・・・



・・・・・・



ーーいいや



とにかく、アレだ



謝ろう



また勝手に飛び出してごめん



心配掛けてごめんって



帰ったら、ちゃんと謝るからさ



ガルムを前にし、神機を構えるロミオ



だがその想いは、ここでーー






























ヒバリ「ガルムに結合崩壊!依然、マルドゥークと思われる反応が周辺にあります!気を付けてください、ロミオさん!ガルム、活性化します!」



ガアッ



ドッ



ロミオ「!?」



ガルムを下から斬り上げたのは、追い掛けてきたジュリウスだった



ロミオ「ジュリウス!?バカ!なんでお前まで来てんだよ!!」






ラケル「ロミオ・・・あなたはこの世界に新しい秩序をもたらすための礎。あなたのおかげで、もうひとつの歯車が回り始める・・・」






とうとうふたりの目の前に、マルドゥークが姿を現した






ラケル「ああ・・・ロミオ・・・あなたの犠牲は、世界を統べる王の名のもとに・・・きっと未来永劫、語り継がれていくことでしょう。おやすみ、ロミオ・・・“新しい秩序”の中で、また会いましょう・・・」






目の前で気を失っているジュリウス



ロミオはひとりで戦い続ける



しかし、ひとりでは到底勝てるはずもなく、ボロボロになっていく



走馬灯のように頭の中を駆け巡る、これまでの記憶・・・



ロミオ「うおおおおお」



ーーロミオの血の力が、覚醒した
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