長編[ルイ]

□第2章
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ムラサメ「ふぃー終わった終わったー!全員分の装備、しっかりメンテナンスしといたよ!」



ヤクモ「サンキュー、ムラサメ。いつも無茶言って悪いな」



ムラサメ「今度こそ、血涙の源流が見つかるかもしれないんでしょ?報告、楽しみにしてるよ。それに、最近は楽しみも増えたしね」



ヤクモ「楽しみ?」



ムラサメ「エマの武器!珍しい改造がされてるから、見るのが楽しみなんだ。普通の銃剣より射程距離が長いし、威力も増加されてる。おまけに剣の切れ味も最高だしね」



ヤクモ「・・・そ、そいつは良かったな」



ミア「これだけの品揃え・・・貴方が一人で集めたの?」



ムラサメ「あ、元気になったんだ!貴方の事、気になってたんだ。たぶん、同い年くらい?良かったら、友達になろうよ!」



戸惑いながらも、ミアは何度も頷いた



ヤクモ「あー、そういうヤツなんだ。適当に流してくれればいい」



エマ「派手にぶっ飛ばされてたけど・・・復活早い」



ヤクモ「いや、押されただけだって」



エマ「押されただけでよろけるの?弱い人」



ヤクモ「お前なぁ・・・それは挑発と受け取っていいんだな?」



エマ「そうなの?」



ヤクモ「・・・・・・前にも言ったと思うがな、自覚が無いのが一番タチ悪いんだぞ」



エマ「?」



ミア「・・・エマって、天然なの?」



ムラサメ「んー、どうだろう・・・」



そんな中、イオが武器に触ろうと手を伸ばす



ムラサメ「こらこら、イオちゃんには必要ないでしょ。怪我すると危ないんだから」



ヤクモ「そうそう、無闇に戦場に出るもんじゃないぜ。家で、待っててくれる仲間がいる・・・・・・それだけでも、こっちは嬉しいもんだ」



イオ「・・・ヤクモが悲しい目をしています」



エマ「・・・」



ヤクモ「あーもう、二人してそんな目で見るな・・・大した話じゃない」



エマ「大した話じゃないのに、そんな目をするの?」



ヤクモ「・・・」



そう言われて、ヤクモはポケットから1枚の写真を取り出した



ヤクモ「大事な仲間・・・家族みたいなヤツらだ。大崩壊で散り散りになって以来、どこにいるか、生きているかどうかもわからないが・・・ずっと探してる、知らない場所へ行く度に」



エマ「・・・」



ヤクモ「なんにしても、俺は恵まれてる。俺が吸血鬼(レヴナント)として目覚めた時、酷い拒絶反応が出てな。堕鬼(ロスト)になりかけて、地獄行きは目前・・・そんな俺を引き取って看病してくれたのが、アイツらだ。全く、物好きもいたもんだ・・・」



アイツら・・・それは、ルイ達の事を言っていた



ルイとココが話しているのを視界に入れ、ヤクモは続ける



ヤクモ「・・・俺はどんな事があったってアイツらを護る。俺にとって仲間ってのはそういうもんなんだ。まあ、今は面倒見る奴が3人も増えちまったから、大変だけどな・・・!ほら、だからもう心配すんな」



エマ「・・・それ、私も入ってるの?」



ヤクモ「当たり前だろ」



エマ「・・・」



ヤクモ「不満か?」



エマ「今この場では、本音を言わないヤクモに、不満」



ヤクモ「・・・・・・生意気言ってんじゃねぇよ、猪突猛進が」



エマ「わっ」



見透かされた気がした



生きていて欲しい、見つけたい



だが、今の仲間を捨てる事もできない



この手で護りたい



そんな想いを持っている事を、年下であろう彼女に・・・見透かされた気がした



だから、彼女の頭からベレー帽を奪い、撫で回す事で誤魔化した



そんな彼らの様子を、ルイが遠くで見つめていた



ココ「・・・へぇ、珍しくご機嫌じゃないか」



ルイ「・・・俺の事か?」



ココ「アンタ、いっつも死んだ魚みたいな目してたからねぇ。今の方が、よっぽど“生きてる”って感じがするよ」



ルイ「・・・」



ココ「良かったじゃないか、良い仲間に巡り会えて」



ルイ「良い仲間、か・・・ああ、そうだな・・・」



パタパタ



ルイ「?」



エマ「紅茶、入れるけど・・・」



ルイ「?・・・ああ、もらおう」



エマ「ココは?」



ココ「いいねぇ、お茶会。ぜひ参加させてもらうよ。あ、そうだ。はい、これ」



エマ「あ」



ココ「こないだ頼まれた物、手に入ったから今の内に渡しておくよ」



エマ「ぁ、ありがと」



ルイ「何か頼んでいたのか?」



エマ「!!」



ルイ「それは?」



ココから渡された袋を、大切そうに受け取ったエマ



その中身が気になり、ルイが聞こうとするが



エマ「か、関係ない」



ココ「確か・・・金平糖って言ったっけ?」



エマ「ココ!」



ルイ「コンペイトウ?」



ココ「要するに、砂糖菓子さ」



ルイ「え・・・」



エマ「ココ!」



ココ「良いじゃないか。甘い物が好きだなんて、女の子らしくて。金平糖も、見た目が可愛らしいからね。そういうの、好きなんじゃないの?」



エマ「べ、別に・・・好きとか、そんなんじゃあ・・・!ち、違うから!」



珍しく慌てた様子のエマは、ダッシュでこの場から去った



その後ろ姿を笑いながら見送るココと、ポカンとしているルイ



ルイ「・・・甘い物、好きだったのか」



ココ「好きな物も好きって素直に言えない天邪鬼、か。あれはツンデレだね、きっと」



ルイ「ツン・・・?」



ココ「見てればわかるよ」



その後、紅茶を飲みながら金平糖をこっそり食べるエマを見つけたルイ



いつもの無表情のような顔が綻び、嬉しそうに微笑んでいた



その時、ルイは思わずティーカップを落としそうになったとか



ヤクモ「やっぱツンデレだな、エマは」



ココ「普段はちょっと弱いけど。ツンもデレも」



ルイ「あれが、ツンデレ・・・なのか?」



エマ「ち、違うから!」



ミア「ツンデレね」



ムラサメ「ツンデレでしょ」



イオ「ツンデレ、なのですか?」



エマ「・・・・・・一度全員、世界の果てまで吹き飛べばいい」
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