長編[ルイ]

□第1章
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エマ「・・・」



すー・・・すー・・・



ルイ「ハァ・・・」



ヤクモ「寝たのか・・・」



ルイ「ヤクモ」



ヤクモ「安心しきった顔、してるな・・・さっきの話、俺も聞いてた。こいつも不安がる事があったんだな」



ルイ「最初は不安がるどころか冷静だった。だがあの吸血鬼狩り(ハンター)に会ってから、様子が変わった」



ヤクモ「吸血鬼狩りとエマ、か・・・一体、どんな繋がりがあるんだろうな」




















一方、拠点に運び込まれてから眠っている彼女は、夢を見ていた



ニコラ「ミア・・・」



ミア「ニコラ・・・そこにいるの?」



姿は見えない・・・だが、聞こえてくる声



ニコラ「・・・行ってくるね」



ミア「待って・・・!私も、一緒に行くから・・・!



ニコラ「あんまり、寝坊しちゃダメだよ」



走った先で、眩い光に包み込まれる



光が収まると、辺り一帯が白銀の世界に変わっていた



ミア「ここはどこ・・・?」



周りを見回すと、男の後ろにくっついて歩く、探し人の姿を見つける



ミア「ニコラ・・・?あっ、待って・・・!」



ニコラ「ミアは、僕が守るから」



ミア「待って、ニコラ!」










追い付けないまま、彼女は夢から目覚めた



ミア「・・・夢?」



体を起こすと、ベッドに腕を乗せて頭を預ける、ムラサメが眠っていた



近くのサイドボードには、あの子・・・ニコラの被っていた帽子があった



それを手に取り、呟く



ミア「でも、今のは・・・」



ベッドから抜け出し、歩き回る



ソファや地図の貼られたボードのある場所に向かう



地図に貼られた、ある写真が目に入った



ミア「・・・この・・・場所・・・」



先程、夢で見た白銀の世界・・・あの雪山だ




















ヤクモ「しかし、どうなってんだ?肝心の地脈が、どこもかしこも旧市街地に流れてるなんて」



ルイ「少なくとも、源流への鍵は旧市街地にある。それは、間違いないだろう。前にエマが言っていた事、あながち間違いでもなかったんだろう」



旧市街地には他にも泉があり、そこに繋がっている



もしくは、全ての泉が繋がっていて、その内のひとつだけが源流に繋がっている・・・要は、枝分かれしてるのではないか



エマが以前言ったのは、このような内容だった



ヤクモ「けどよ、行ける所は全部・・・」



ミア「いいえ、まだあるわ」



声が聞こえた方を見ると、彼女がそこにいた



注目が集まる中、彼女は続ける



ミア「旧市街地に、女神像があるのは知ってる?あれに、ちょっとした仕掛けがあるの」



ルイ「なるほど・・・そういう事か」



ヤクモ「お前・・・もう歩き回って平気なのか?」



ミア「もう大丈夫・・・迷惑をかけてしまってごめんなさい。何か、お返しができればいいんだけど」



エマ「別に。迷惑だなんて思ってないんだけど」



ヤクモ「あー・・・こいつ、口下手なんだわ。言い方がキツいのは気にすんな」



ルイ「だが、彼女の言う通りだ。それに、今の情報で、十分過ぎるくらいだ」



ミア「・・・・・・あの・・・貴方達に・・・お願いがあるの。ここに行く方法を教えて欲しい」



彼女が指差したのは、雪山の写真だった



ミア「埋め合わせは必ずする・・・お願い。どうしても、ここに行かなければいけないの」



ヤクモ「教えてやりたいのは、山々なんだけどな・・・」



エマ「雪山だけに?」



ヤクモ「うるさい、寒い事言うなよ・・・」



ルイ「具体的な道筋はまだわからない。瘴気に閉ざされた先にある、というくらいしか・・・」



ミア「そう・・・ごめんなさい、急に変な事・・・」



ヤクモ「方法が無いわけじゃないぜ。こいつのおかげで、俺達は瘴気の先に進む事ができる」



エマ「・・・」



ルイ「一緒に探索を続けていけば、雪の降る山に続く道を見つけられるはずだ」



ヤクモ「まずは、俺達の目的に協力してもらう事にはなるけどな」



ミア「どんな事でも協力するわ。それで、あの場所に行けるなら」



ルイ「・・・交渉成立だ。よろしく頼む」



ミア「こちらこそ」



差し出されたルイの手を、彼女は握り返した



ヤクモ「よーし。これで決まりだな。今日からお前は俺達の仲間だ」



ミア「仲間・・・」



ヤクモ「俺はヤクモ。こっちの偉そうなのがルイ。でもって・・・あれ?ムラサメとイオはどこ行った?」



ルイ「君さえ良ければの話だが・・・」



先程のヤクモの紹介に、少し頭を抱えたルイ



だが、急に仲間と言われても迷惑かもしれないと、改めて彼女に聞いた



ミア「ありがとう・・・」



ルイ「そういえば、まだ名前を聞いていなかったな」



ミア「ミア・カルンシュタイン。戦う力は・・・それなりにあるつもり」



ルイ「ああ・・・ヤクモへの一撃は見事だったな」



ヤクモ「全くだ・・・酷い目に遭ったぜ・・・よろしくな、ミア」



握手をすると、ヤクモがエマの右腕を掴んで引っ張った



エマ「あ」



ヤクモ「ほら、お前もだ」



エマ「・・・・・・エマ。よろしく」



ミア「・・・よろしく」



照れ臭そうに手を出すエマを見て、ミアは微笑みながら握手をした


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