長編[ギルバート]

□歯車
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ミコト「?」



エレベータの中で携帯端末を弄っていると、メールが届いた



件名:【同報】野外昼食会開催の連絡(ジュリウス)

本文:来賓の歓待とブラッドの慰労を兼ね、野外の昼食会を開くことになった。
この昼食会は来賓のユノさんたっての希望でもある。
詳細は追って連絡する。



ミコト「おやおや、まるでピクニックですね〜」



だが正直、楽しみだとも思っている



生まれてから一度も、そういうことをした覚えはない



というより、本当に一度もないのだ



だが、彼女は知らなかった



神機兵との合同作戦当日が、運命の日であることをーー






























作戦当日



ナナ「今日ロミオ先輩の知り合いのおじいちゃん達も来るんだって!あ、これおいしそー!」



シエル「ロミオは、今もその方と仲がいいらしいですね・・・行く先々で人の輪を広げていく・・・一体、どうすればあのような・・・・・・小麦粉と混ぜて・・・なるほど・・・」



ミコト「おふたり共、何を見てるんですか?」



ナナ「むっふっふー。じゃーん!今度のピクニックに持って行く、お弁当です!ユノさんとも話して、せっかくだから手作りしたの持って行こうって話になってね。アーカイブから拾ってきました!」



ミコト「へー!」



ナナ「ねーねー、ミコトちゃんは何食べたい?」



ミコト「私ですか?あ・・・」



ナナが料理、で思い出したのは以前の妙な錠剤・・・



シエル「この“からっとあげる”とは、具体的にどのような状態をさすのか検証が必要ですね・・・早速、測定器具を用意しなければ・・・」



サツキ「ユノの手料理は攻撃的ですよ・・・」



ミコト「あ、あの!皆さん、お料理をした経験は・・・?」



ナナ「はーい!はいはい!私あるよ!」



シエル「私は、その・・・えっと・・・」



ミコト〈あれを料理と言っていいのでしょうか?シエルは無さそうに見えます・・・〉



ミコト「わ、私も・・・何か作ろうかなぁ・・・」



ナナ「え、ミコトちゃんが!?何作るの?何作るの!?」



ミコト「ひ、秘密です!」



ギル「・・・・・・お前も作るのか」



ミコト「そんな怖い顔しないでください。料理は一応、神機使いになる前から何度もやってます。お義父様は作らない人でしたから」



ギル「そうか」



ミコト「まだ怖い顔してる・・・疑ってるんですか?」



ギル「悪い、お前に対してじゃない」



ミコト「・・・神機兵、ですか?」



ギル「ああ。いきなり作戦投入するらしい。嫌な予感しかしねぇ・・・」



ジュリウス「神機兵の信頼性は向上しているとのこと。機能不全の可能性は限りなく低い・・・という、クジョウ博士の能書きを、とりあえず信じてみようか」



ミコト「・・・そうですね。ですが、気を付けた方がいいです。厭な予感は、厭な現実を引き寄せるものですから」



無人神機兵が展開され、ブラッド、極東支部ゴッドイーター、ユノが一般市民の避難誘導を行う



ユノ「お子さんの手を、しっかり握ってあげてくださーい!」



ミコト「ユノ!ここは私達が代わります。この人達と一緒に、中央サテライトに向かってください。あちらも、ちょっと混乱しているようなので」



ユノ「わかった」



ロミオ「あっ、あのっ、ごめんユノさん!ひとつお願いがあるんですけど・・・っ。俺、ブラッドのメンバーにさ。今まで散々助けてもらったのに、何ひとつ恩返しらしいことできなくて・・・だから、その・・・この作戦が終わったら・・・ブラッドのために、1曲だけ歌ってほしいんだ」



ミコト「!」



ロミオ「ユノさんの歌ってさ、聞いてると疲れが飛ぶって言うか、すげー癒されるんで・・・だから・・・」



サツキ「ちょっとー。そういうお話は、マネージャーの私を」



ユノ「ええ、私の歌でよければ」



サツキ「ちょっ」



ロミオ「え。本当!?ありがとう。俺・・・超楽しみにして」



ドッ



轟音と共に、煙が上がった



アラガミだ



ジュリウス「外壁が突破された!予定通りミコト、ギルはアラガミの討伐。ロミオは俺と住民の誘導にあたれ」



ミコト・ロミオ「「了解!!」」



キッ



ギル「おっせぇぞ!」



ミコト「すみません!」



装甲車を走らせてきたギルに謝罪し、ミコトは後部座席に飛び乗った



ギルが再び装甲車を走らせる



ミコト「やはり、見逃してはくれませんかねぇ」



ギル「だろうな。結局、マルドゥークも出てこなかったしな」



ミコト「願わくば、今日も出てこないでほしいです・・・・・・無線、だいぶ混乱しているようですね」



ギル「同じタイミングで襲ってきやがったからな」



ミコト「まるで、誰かの指示に従っているかのようですね」



ギル「俺らみたいにか?あいつらにそんな脳ミソあるかよ」



ミコト「・・・」



ギル「胸、痛むのか?」



ミコト「ーーいえ、大丈夫です」



厭な予感がすると、胸を押さえる



彼女の癖だ



だがそれを知らないギルは、問い詰めることはしなかった



その厭な予感が、的中するとも思わずーー
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