長編[ギルバート]
□特殊部隊ブラッド
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フラン「適合試験、お疲れ様です。偏食因子が定着するまで、ミッションを発行することはできません。本日は“フライア”を見学してください」
ミコト「はーい」
軽く返事を返し、特に行く当てもなく階段を降りる
彼女は、対アラガミ討伐部隊「ゴッドイーター」の適合試験を受けたばかりだった
名前は柊ミコト
ミコト「いやぁ、それにしても。豪勢な設備ですねー」
軽い口調で言いながらエレベータに向かい、とりあえず1つ下の階へ行ってみる
ミコト「ほーほー、庭園ってやつですかぁ。初めて見ました」
本当に初めてなのか、ずっと笑っている彼女の顔は少し楽しそうに見えた
ミコト〈先客、ですかねぇ?〉
ジュリウス「ああ・・・・・・適合試験、お疲れ様。無事、終わって何よりだ」
庭園に唯一ある大きな木の根元に座っている彼は、ミコトの存在に気づくとそう言った
ジュリウス「まあ、座るといい」
ミコト「・・・では、お邪魔します」
いつも通りの笑顔のまま、ジュリウスに促されて彼の側に腰掛けた
ジュリウス「ここは“フライア”の中でも、一番落ち着く場所なんだ。暇があると、ずっとここでぼーっとしてる・・・」
ミコト「いい場所ですね」
ジュリウス「ああ、すごく気に入ってる。そういえば、まだ名乗っていなかったな。俺は、ジュリウス・ヴィスコンティ。これからお前が配属される、極致化技術開発局“ブラッド”の隊長を務めている」
ミコト「おや、隊長さんでしたか。それは失礼しました」
ジュリウス「いや。あまり恐縮しなくていい。これから、よろしく頼む」
ミコト「はい。こちらこそ、よろしくお願いします。あ、私は・・・」
ジュリウス「柊ミコト、だろう?」
ミコト「やはりご存知でしたか」
ジュリウス「これから自分の隊に配属されるやつなんだ。それくらいは知っていて当然だ」
ミコト「さすが、隊長さんですねー」
ジュリウス「さて・・・」
そう言うと、ジュリウスは立ち上がりミコトを見下ろす
ミコト「おや、もう行っちゃうんですか?」
ジュリウス「ああ。休んだあとで“フライア”をゆっくり見て回るといい」
ミコト「・・・・・・あれが隊長さん。私の上司、というわけですかぁ・・・・・・まあぶっちゃけ、どーでもいいですけど」
ジュリウスが庭園から去った後、独り口を開いたミコト
笑顔のままだった彼女の表情が、一瞬にして変わった
ミコト「だって私、どうせすぐ死んでしまうでしょうから」
どこか、悲しそうな笑みに変わった
ミコト「どこの子供かもわからない私を厄介払いできて、柊家はさぞお喜びでしょうねぇ。おまけにゴッドイーターですからね。喜ばない方がおかしいですよ・・・・・・自由ってなんなのでしょうかねぇ・・・」