ワールドトリガー

□第5話
2ページ/3ページ



「なんだあれ…」

「丸いネイバーが3体…?」

「新型か?」

「油断するなよ。恐らく、大量のネイバーを動かしてんのはあの3体だ」

『へえ、なるほど。で、悠一は何が"見えてるの"?』

「んー、まぁ見えてる未来言ってもやることは変わんないよ。"最悪"もデカいことじゃない。

俺たちで対応できる範囲内」

『…そう』


トリガーを構えれば、次々に出てきたネイバーたち。


『誰が何の相手すればいい?』

「あー、いつものは瑠唯のアイビスで吹っ飛ばしてくれ。あと隊ごとに動いて欲しい。単独は危険だ」

「なら瑠唯が1人も危険じゃないのか?俺たちの誰かが一緒に…」


准のその言葉に、いや、いい。と私が遮る。


『私のアイビスの威力じゃ周りを巻き込むから。みんなはそこそこ離れて丸型ネイバーの相手して。

その他は、私が"集める"』


ふぅ…と長い息を吐いた後、全身から力を抜いて、心の中で言葉を紡ぐ。


『“おいで”』


ピクリと反応しネイバー達が一斉にこちらへと向かってくる。


『さあ、やろうか』


私の一言で全員一瞬でバラければ、それを追いかけようとする少し遠い距離にいるネイバー。

そいつらの動きをバイパーで止めれば、みんなはどんどん離れて行く。


『みんなのとこには行かせない』


なるべく自分へ集まるように、ゆっくりめに走り、だがある程度の距離は取る。

そこそこ遠くへ来たところで、インカムをつける。


『《今からアイビスぶっ放すよ。周辺に居ないでね》』

「「《了解》」」

《全員に瑠唯さんの位置情報を送ります》


綾ちゃんのその声の後、少しだけ間を取り、アイビスを出す。


『“もっと寄ってこい”』


大量のネイバーがすぐ近くまで来た瞬間、引き金を引けば、ドカァアァアン!!!と一気に目の前が更地になる。


『わあ…やりすぎたな…。でもこの辺り射線超通しやすくなった』

《馬鹿か国城!》

『《あはは、鬼怒田さんすみません〜。あ、沢村さん、全員の位置と交戦中の丸型ネイバーの情報ください》』

《わかったわ》


と、全員の位置情報を見て、情報をインプットする。


『(あの丸いのが門を開いてネイバーを呼んでるってこと…厄介だなあ…とりあえず悠一のとこ向かうか…)』


悠一と合流を目指し動き出せば、瑠唯、止まれ。と、悠一の声。


『《なんで?今1人なんでしょ。風刃使ってるとはいえ、単独は危険なんじゃないの》』

「《こっちはもう片付く。それより太刀川さん達と合流してくれ》」

『……』


と、話していれば、お前らインカムで話すな。と太刀川さんの声。


『《太刀川さん、戦況は?》』

「《別に、どうってことねえよ。お前は迅のとこ行け》」

『《……公平》』

「《思ってるより厄介です。ポンポン門開けるなりネイバー送り込んで来るんで。それと、変なのが1匹いま…うお!》」


公平のその声と同時に少し遠くで聞こえる爆発音。


『!!《…公平!無事?》』

「《あっぶねー…なんか、妙に射撃上手いネイバーが1体居ます。ソイツがどうにかなれば助かります》」

『《…太刀川隊に加勢します》』

「《了解、気をつけろよ瑠唯》」

「《だから、2人でもいけ「《瑠唯さん頼みます!》」

『《OK》』


サイドエフェクトを使いながら太刀川隊の元へ急いで向かえば、太刀川さんは右肩から、公平は横腹と腕からトリオンを漏らす姿が見えた。


『(傷は深くはないだろうけど、漏出しすぎたらトリオン体が持たない…さっさと決めなきゃ…)

…!!』


ばっ!と建物の影に隠れれば、さっきいた場所には穴が空いていた。


『ほぉ…どっから……』


千里眼で探るも、姿は見えない。


『(…ってことは、トリオンに反応して狙ってるのか…射撃の瞬間だけ門を開いて撃ってると仮定すれば、それも丸いのが操作してることになるよな……)』


…やっぱり、あの丸いネイバーを封じるのが早そうだな。


『《太刀川さん、公平。射撃してるネイバーの姿は見てない?》』

「《見てねえ》」

「《闘ってたら死角から狙撃してくる感じです》」

『《了解です。とりあえず一旦離れます》』


ある程度の距離を取り、遠巻きに見つめる。


『(相手の射程距離がイマイチわからないからな…透視できる範囲にはいるけど…)』


思い切ってバカでかいトリオンキューブを出すも、射撃される気配はない。


『(ってことは、精々丸型ネイバーの200m以内とかか…?

…まぁ、どっちにしろ…)』


イーグレットを出しインカムをつける。


『《2人とも囮役よろしく》』

「《太刀川了解。ちゃんと仕留めろよ》」

「《出水了解》」


了承を得れば、2人とも今までよりも激しく暴れながらネイバーの相手をする。

すると、門が開くのが見えた。


『(きた……)』


イーグレットを構え、門の中へ弾丸を撃ち抜こうとすれば、スコープにどアップで映るネイバー。


『チッ…!』


とりあえず邪魔なネイバーを撃ち抜くも、相手もすでに撃っていた。


「《うお!こりゃやべえな…》」

『!公平!!』


片足を撃たれ、機動力を大幅に失った公平に群がり始めるネイバー達。


『(くそっ…私が1発で仕留めなかったから…!)』


イーグレットを仕舞い、白弧を起動させて公平の元へと向かう。


『ごめん公平!しくじった!』

「そんな焦んなくても平気ですよ。瑠唯さんは狙撃位置に…」

『平気じゃないわ弾バカ!!狙撃はもうしない!片足失った公平を守る!』

「でも、それじゃいつまで経っても『うるさい!』

『いいから!!』


叫ぶようにそう言えば、恐らく大人しくなった公平。

…よし、これで私の援護に回ってくれると助かるんだけど…。

と、言葉にしなくてもわかったのか、私に合わせ弾を飛ばしてくれる。


「おい瑠唯!どうにかすんぞ!」

『どうにか、って…なんか策でもあるんですか!太刀川さん!』

「出水!考えろ!」

「俺ですか?!」

『ああーっ!もう!』


白弧でネイバーの攻撃を受け止めれば、左側から攻撃してくる別のネイバー。


『メテオラ!』


ドドドド!!とメテオラを放った瞬間、何かが足を掠めた。


「瑠唯さん!」

『(くそ!射撃か…!)』


眼で探るも、姿を隠しているらしく、見つけることが出来ない。


『(何か…方法を……。…!)

公平、まだ動ける?』

「いけます」

『太刀川さん、少し離れよう。丸型ネイバーの"射程距離"から出なきゃ』


アイビスを出し、とりあえず群れているネイバーに撃って、土煙に乗じてその場を離れた。


「で、なんか思いついたのか?」

『はい。次こそ、仕留めます。だから…お願いしていい?公平』

「了解です」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ