ハイキュー!!

□第9話
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皆と合流し、客席側から見つめるのは、


「「キャー!!及川サーーーン!!」」

「及川ナイサー!!!!!」

『相変わらず、気色悪い』

「はは……やっぱ及川には厳しいんだな」


隣で苦笑いを零す孝ちゃんに、そりゃね!と返しておけばまあまあ、と旭に宥められた。


『(に、しても…ほんっと、サーブの精度高すぎでしょ…。…あ、あと…)』


…アイツのセットアップ見るのも、久しぶりだな。

及川の何がすごいって、その人その人に合った最高打点を引き出すこと。

故に、選手が1番打ちやすく且つ1番威力のあるスパイクが打てる。


『……中学の時からさ、』

「「?」」

『好きだったんだよね、及川のこと』

「「……え?」」

『なんかさ、こう「ちょ、ちょ、ストップ!!!」

「え?!待って?!幸奈一体誰が好きなの!?今誰の彼女?!」

『は?今誰の彼女でもないけど』


と、言った後で気づく。

…あ、私一応二口の彼女で通ってたんだ。


「…え?」

「ど、どういうこと?」

『…えーっと…、二口には…バレーに集中して欲しかったから……フった』

「……」

「そ、そうだったんだ…」


皆なんだか微妙な顔のままその話が終わる。

とりあえず、今は青城の試合観るよ。と無理矢理視線をそちらに誘導させ、私から逸らしておく。

それから、青城が試合に勝ったところを見届け、すぐに学校へと戻った。


「武田先生ー!バレー部がテレビに映ってますよー!!」

「「「なッ…テレビ!!?」」」


皆で失礼します!と職員室に置かれているテレビの前に集まり、今か今かと待ち構える。

すると、始めに流れたのは白鳥沢学園VS扇南高校の試合だった。


『(25-6…圧倒的な実力差、か……さすが、だな……)』


次に流れたのは私達が居たAブロックの試合。

注目はやはり、及川徹くん率いる青葉城西高校と…と及川の紹介が入り、"古豪・烏野高校"です。と私達の紹介され、遂に映る!!と誰しもが思った時、及川がピンで映った。


"明日3回戦の相手の烏野高校の印象を聞いてみました。"

"いいチームですよね。全力で当たって…砕けてほしいですね。あ、あと…僕の大事な人には、明日の試合、勝つところを見届けて欲しいです"

"おお…及川くんにも彼女が…!"

"あはは、まあ僕フラれてるんで、一方的な想いではあるんですけど…"

"な、なんと…こんな素敵な男の子をフる彼女さん……気になります……"

『げほっげほっ!!』


と、唾液が変なところに入り咳込めば大丈夫か!?と旭に背中を摩られる。


「明日必ずぶっ倒すぞ…及川」

「いや、青城を!ですよね!!」

「公共電波使ってあの発言はないわー…性格悪いな、及川」

『(くっそ……及川め…!!)』

「……先生、ありがとうございました」

「あぁ、いや……」

「よし……それじゃあ………


やるか」

「何を!?!!」

「み、ミーティングをですよ!!!」


ゾロゾロと体育館へ向かい、荷物を下ろして烏養コーチを囲むように並べば、コーチが話し出した。

とりあえず、明日の試合では、及川のサーブを上げること、MBの日向、月島はサーブレシーブに参加しない、とのこと。


「あぁ、あとな、お前ら青城見て"あ!やべえ!強ぇ!"って思ったろ?」

「「!!!!」」

「でもよ、例えば伊達工の試合をもし、同じように観客席で見てたら"なんだよあのブロック、まじ怖い勝てない"って怯むだろ?


でも戦えた。勝った。明日もそうだ」

「「っしゃああ!!!!」」


それからフォーメーションの確認を軽くしてから解散となる。

旭に帰るぞー。と声を掛けられたが、用があるから先に帰ってくれ、と頼んでおいた。

そして、


『……あ』

「悪ィ、待たせた」

『ううん、それより急に呼び出してごめんね、

岩泉』


駆け寄る岩泉にそう言えば、1人か?と尋ねられた。


『?そうだけど』

「あのなぁ…誰か引き止めとけよ、1人で危ねぇだろ」

『えー…だってすぐ来てくれると思ってたし……それに、試合前日に、対戦校の人に会わせるのも、お互い気まずいし……』

「はぁ……で、なんだよ頼みって」

『あ、そうそう…及川にさ、今日放送されてたテレビのインタビューはなんだよって蹴り入れといて欲しくて』

「あぁ…それなら俺と花巻と松川で制裁済みだ」

『さすが岩泉…!花巻くんと松川くんも神か…!』


ありがとう…!!と言えば、で、あとは?と続けた岩泉。


『………』

「別に、今の用だけならケータイで連絡すりゃ済むだろ」

『……岩泉は鋭いなぁ…』


頬を掻きながらえへへっと笑うと、どうしたんだよ、と真面目な顔で聞かれた。


『…及川のセットアップ』

「?」

『綺麗だった』

「…そうか?」

『岩泉はずっと打ってるからわかんないかもだけど!でも、いつもドンピシャのトス上がるでしょ?』


まぁ…、と思い出しながらそう返事をする岩泉。


『…念入りにストレッチするのと、アイシングもちゃんとしておけ、って』

「……」

『それと夜ふかしはしないこと』

「それは俺も言っておいた」

『岩泉も、ちゃんと身体休めないと。湯船に使ってマッサージとか、試合前にアイシングとか…――』


と、そこでハッ!と気づけば、はぁ…とため息を吐く岩泉。


「相変わらずのお人好しだな、お前」

『うっ…い、いやっ、お人好しじゃ…「対戦相手の心配なんてしねぇよ普通は」

「…ま、ありがとうな。身体には気をつける。及川にも伝えおく」

『…うん』


じゃあ、と立ち去ろうとすれば幸奈と呼び止められた。


「明日は負けねーからな」

『!!…それはこっちのセリフだし!』


…まさか、岩泉に言われるとは。

明日は、絶対……負けない……


『(全国で戦うのは……私達だ……!)』
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