ONE PIECE

□第8話
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「人間が何故俺達を嫌うか、逆に何で妖精が人間を嫌うか…

考えたことあるか?」

『ないよ、そんなこと』

「人間にはない力を俺達は持っている。逆に、俺達にない力を人間は持っていると、俺は思うけどな」

『…?』

「ふはっ、ガキには難しいか…」

『子供じゃないよ、私』

「弟子が師匠に歯向かうなよ…ったく………。


まァ…立派になれよ……リリー……」



『………』

「んぁ?目が覚めたか…娘よ」


目を覚ませば、オヤジさんがお酒を片手に私を見た。

…私、オヤジさんの部屋で寝てたのか……?


『オヤジさん……私…!!』


「我々が知らないとでも?」


『っっ!!!!!』


「バスターコールを使い、島を潰したのは…海賊などではない」


『…や…め…………!!』


「我々海軍だ!!!!!」


『やめろォオォオオ!!!!』


ドカァアァアアアン!!!!


『…ハァッ…ハァッ………』

「我を忘れるなリリー」

『ハァッ…!?』

「闇に…飲み込まれるな……!!」

『(フッ…)……オヤジ…さん…?』

「…オメェの中には…とんだバケモノがいるみてぇだな」

『えっ…?』


その時、バァン!!と扉が激しく開きオヤジ!!?と隊長さん達や船員さんが入ってくる。


「何があった!?!」

「大丈夫か!!?オヤジ!!リリー!!!」


ドタドタドタ!!と倒れ込むように入ってくる彼らの形相は素晴らしいものだった。

そんな彼らの中にエレナさんの姿を見つけた。


『!エレナさ…「リリー!!」

「心配したのよ本当…って、出血してるじゃない!!どうしたの?!」

『え…?』


自分の右手から零れ落ちる血。血の痕を辿れば穴の空いた壁。

…私…今…壁壊したの?


『……え…?…あ……?』

「とにかく、医務室へ行きましょう!」


エレナさんに肩を抱かれ歩き出す。

…壁を壊したの…私だ……。もしかしたら…もし、何かヘマをしてオヤジさんに怪我をさせていたら……?


「リリー…気が向いたらでいい。またここに来い」

『はい…』


グララララ!とオヤジさんは笑い、お酒を再び口にした。

そんなオヤジさんを背に、私は医務室へ向かい手当てを受ける。


「もう!びっくりするじゃない…手当てしたばかりだったのに…」

『すみません……』

「リリーのこと、みんな心配してたんだからね?…ちゃんと元気になったら……また前みたいに仕事頑張ってね…」

『…はい……!』


とりあえず意識が戻った事だけでも知ってもらっておきなさい。と食堂に入るとリリー!?!と驚くみんな。


「おお!!元気になったのか!」

「心配したぞ!妹よ〜!」

「いつ目が覚めたんだ!?寝込みっぱなしで心配したぞ!」

『ついさっき、です……?』


寝込みっぱなし……?


『(……あれから何日経って………)』

「リリー」

『!…マルコ、さん…!!』

「身体は平気かよい?」

『はい、全然もう働けます!』

「そうか……」

『…?』


じっと私の目を見据えるマルコさん。あまりに鋭い視線に、少し身震いした。


「あ…悪ィ……」

『…っ!ご、めん、なさい……』


伸びてきた手を避け、私はそそくさと自室へ戻る。

パタン…。


『……』


さっきのマルコさん…まるで………。


『(…まるで…………)』


コンコン

と、ノックされビクリと思わず過剰な反応をしてしまう。誰なのか、探ろうかとすれば俺だ。とイゾウさんの声がした。

…ホッ、とした反面、今は誰にも会いたくない。と思う自分が居た。

それに、イゾウさんが来た理由がなんとなくわかった気がした。


「入るぞ?」

『…はい、開いてます』


距離を取るようにベッドに腰掛けたままで迎えると、イゾウさんは椅子に座った。


「……」

『……マルコさん…ですか?』

「何がだ?」

『あ…いや………』


マルコさんの差し金かと、という言葉は飲み込んだ。イゾウさんは家族として、純粋に来てくれてるんだ。

…烏滸がましいな、自分。船に乗って日も浅いのに。


『…ふっ……』

「何故泣く」

『うっ……ひくっ……』


ゆっくりと腰を上げ私の隣に来ると、イゾウさんは肩を抱き、自分の方へ身を引き寄せた。

突然のことで一瞬息が止まった。


『イゾウ…さん……?』

「俺なら…こんな風に泣かせねぇんだがな………」

『えっ……?』

「…リリー……」


それはほんの刹那の出来事。

…唇の少し真横に、柔らかい感触。


『イゾウ、さん……っ?!』

「悪い……弱ってる所につけ込むつもりはねぇ…。ただ……お前さんが悲しむ顔は好かん」

『……ふぁふ!』


両頬を掴まれぷにぷにとされる。


「…何かあったら、いつでも部屋に来い、話も聞いてやる。酒だって飲んでやるよ…」

『………ふぁひはほうほはいはふ…』

「ぷっ……」


ムゥ…と眉間に皺を寄せればわかったわかった。と放してくれた。


「じゃあな」

『……はい』
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