ONE PIECE

□第7話
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何が起こるかわからないのがこの時代――大海賊時代の性らしい。


「振り返るな!!走れ!!」

『でも…!』

「絶対に捕まるな…お前だけは……!!」

『………っ!!』

「この"事実"…知っているのはリリー、お前だけだ!」

『う…ん………』

「絶対に………



――――…」



『――っ!!!』


ガバッと起き上がり、周りを見渡せばそこはモビーの自室。窓の外はまだ暗く、月の光が差し込んでいる。

…夢、か………。


『(随分、懐かしい夢を見たな…)』


何かの前兆にならなきゃいいんだけど…。

そう思い、自分の額に手を当てれば汗ばんでいる自分の身体。


『……夢…だったのに…』


1度着替えようかと服を着替えてる時だった。


「見つけた」

『!!!!』


反射的に金眼になり、周囲を見渡す。…が、誰も…居ない。


『(いや、そもそも…不寝番が居るんだから船に乗り込む輩なんて…)』


いや、船に乗り込まずとも、私の脳内に語りかけるなんて業、出来る人はもう残ってないのに………。


『誰か……生きてるの………?』


そう呟いても、返事は帰ってこなかった。


――――――


『ふぁ……』

「今日はよく欠伸するんだな、リリー」

『昨日眠れなくて……』


洗濯物を干しながらサッチさんとお喋りをする。

…あれから何もなかったけど、目が冴えて一睡も出来なかった。


『(とんだ睡眠妨害だ………)』

「だいぶ機嫌悪ィんだな」

『え?』

「眉間に皺寄ってるの、初めて見たぜ?」


ま、もうさすがに船に馴染めてるか!と笑うサッチさん。


『そう、ですね…顔にまで出てしまうなんて申し訳ないです……』

「いや、謝るこたァねえよ。それだけ心を許してくれてる証拠だろ?」

『!』

「勿論、そりゃ俺達もなんだけどよォ」


はぁ、俺もそろそろ仕事するか〜と船内へ入ってくサッチさんを見送り、手に持つ洗濯物をじっと見つめる。


『(そうか、これがもう当たり前になってきてるんだ……)』


そう思うとなんだか少し擽ったくて、ふふっと笑ってみせると何を笑っているんだ?とコツンと頭に何か当たった。


『!あ、おはようございます……?』


振り返れば綺麗な黒髪の、美人な男の人。

…誰………。


「あぁ?なんて顔してんだ?」

『いや、あの…どちら様で………』

「イゾウだ」

『…………へ…』


そうか、そう言えばいつも髪の毛は結ってるし、少しお化粧してるからすっぴんというすっぴんは見たことなかった。

…なんだか、神々しい何かを感じる。


『…いや、何かこう…女としてのプライドとか…メンタルが…』

「?」

『いえ………なんでも…………』


私ももう少し女としての魅力が欲しい。

そう切実に思った朝だった。
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