ONE PIECE

□第5話
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「随分気に入ってるらしいな、マルコ」

「は?」


夜、宴だと騒ぐ甲板から離れ、船尾へと向かうとマルコが酒を片手に水平線を見つめていた。

…あの酒は……。

そう思い、声を掛ければ間抜けな顔で返事をしたマルコ。


「見てりゃわかる」

「何の事だよい…。イゾウ」


ふっ、と笑い恍けるつもりか、と言えばむっ、と口を歪めるマルコ。


「……リリーだろい」

「わかってんじゃねーか」

「で、何が言いてえ?」

「人に言わせるのか?」

「…俺は別にそんなんじゃねぇよい」


グビッと酒を飲み、手摺に凭れながら空を仰ぐ。

その隣に並び、同じように空を仰げば満点の星があった。


「素直に好きだと言えばいいだろ」

「だから、何でそうなるんだよい…」

「家族として」


ドカッと蹴りを入れられ、くくっと笑いながらやっぱりか、なんて確信した。


「わかりやすい」

「何回も言うな」

「で、どうなんだ?」

「……俺のエゴで船に乗せたようなもんだよい。これ以上アイツに押し付けるような真似はしたくねぇ」


ただ真っ直ぐ前を見てそう言ったマルコ。

…真面目すぎる、という言葉は飲み込んでおいた。

リリー自身恋愛に疎そうな素振りはないし、寧ろ人の感情を読み取るのは得意な方だと見ていて思う。

ついこの間も、島に停泊した時船員の誰かがお茶という名のデートに誘っていたが断りを入れていた。


「リリー…!あの、ちょっと…お、お茶でもしに降りねえか…?」

『仕事があるのでごめんなさい…』

「終わってからでもいいんだ!」

『……お気持ちだけいただいておきます…すみません…。でも、ありがとうございます』



「…まァ、1つ言えるのはリリーのこと見てるのはマルコ、お前だけじゃねぇってことだ」

「……わかってるよい…」

「"ただの妹"として見るのは違うと思うぜ」

「…余計な世話だよい」


ふっ、とだけ笑い酒はもう要らねえか?と尋ねると要る。とジョッキを渡された。



「(自棄酒は似合わねえって言われてたのに…)

……おいリリー」

『はい?』

「船尾にマルコが居るんだが…これ持って行ってやってくれねぇか?」

『…私がですか?』

「最近また疲れが溜まってるみたいだぜ」

『え!また無理してらっしゃるんですか?!』


大変だ、と酒ではなく水の入ったジョッキを2つ取りに行くリリー。


「(態となのか、ごく自然にしているのか…)」

「リリー!どこいくんだー!」

『マルコさん体調悪いらしいので少し様子見てきますね!』


笑ってみんなの輪から離れると急いで船尾へ向かってくリリー。


「…さて……どうなるか………」

「おーい、イゾウー!助けてくれえー!」

「ハルタ隊長潰れちまった!!」


今度は俺がみんなの輪の中へと呼ばれた。


「(ま、頑張れよ…マルコ)」
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