ワールドトリガー
□第7話
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「学祭…ですか?」
『そー。人集まんないとなかなかやばいから、みんなに声掛けてるんだけどさ』
狙撃手の集まる訓練場。その休憩時間、荒船隊の稽古をつけている時にそう尋ねる。
「俺は大丈夫ですよ」
「俺も」
「………」
『義人は?』
「他の奴らが行くなら…」
『じゃあ他の奴ら誘ってよ。まぁ多分嵐山隊の2人は来る』
佐鳥はいらないっす。と割と真顔で言う義人に吹きそうになりつつ、18歳組も適当に誘っておいて。と言えば、そういえば、と哲が言う。
「瑠唯さん、嵐山さんと付き合ってるって本当ですか?」
『ぶっっ!!!』
飲んでいた水を今度は若干吹き出し、ゲホゲホと咳き込めば、うわあ、という義人の顔が見えた(ブッ飛ばす)
『違うよ。私誰とも付き合ってない』
「そうなんですね」
「広まってますよ。今ボーダー内で」
『え、マジ?』
篤のまさかの言葉に動揺を隠せずにいれば、みんな言ってます。と更に追い討ちをかけられる。
「でも違うんですよね。誰の早とちりだ…」
「一人歩きするもんだろ。噂なんて」
「確かに」
『とりあえず、私と准は付き合ってないから。そっちを広めてくれ…』
じゃあ学祭の件、頼むね。と訓練場を後にし、支部へ戻ってレイジさん達と一緒に鈴鳴との合同防衛任務へと向かった。
「あ、玉狛来ました!」
『お!太一くん久しぶり〜!』
「瑠唯さーん!」
と、いつもなら抱擁するのだが、今日はピシッと停止する。
『……』
「えっ、えっ、な、なんですか!?」
『どうしよう、とりまる』
「はい、なんですか」
『太一くん…会ってない間に背が伸びてる…』
「そうっすね」
『辛い…可愛さ半減した……』
「理不尽!!!」
抱擁ではなく、頭を撫でることに切り替え、ヨシヨシと言っていれば、急げ急げ!と来馬さんと、その後ろから鋼くんが駆けてくる。
「すみません!」
「やっときたわね。さっさと行くわよ」
「皆さん、お久しぶりですね」
『私は鋼くんと太一くんは久しぶりだ〜。そんで相変わらずカッコイイねえ』
「いつも言いますねそれ」
ホントのことだから。と言えば、少し微笑んで、ありがとうございます。と素直にお礼を言う鋼くん。
…うん。イケメンだ。
「集まったことだし、行くぞ」
「『了解』」
と、現場は主にレイジさんの指示で動き、防衛任務を問題なくこなして、帰りは皆で帰ってくる。
『あ、そうだ来馬さん。学祭、人集まりそうですか?』
「あぁ、ウチのみんなも来てくれるらしいし、芋づる式でなんとか…」
『やっぱそうですよね。私も本部で声掛けいっぱいしておこっと』
と、言えば、そういえば…となんだか本日2回目の会話になりそうな話の切り込み方をされる。
「瑠唯ちゃん、嵐山くんと付き合ってるんだっけ?学祭は2人で回るの?」
『なんで鈴鳴支部まで広まってるの!!?』
違いますよ!!と否定すれば、え、そうなの?と驚く来馬さん。
「大学でも言われてるよ」
『えっ、ほんとですか!?私何も知らないんですけど。っていうか、ホントに付き合ってないんでそれを皆に広めてくれません!?』
勢いよく言えば、あ、あぁ…と引かれてしまった((
「にしても…そんなに広まるんならもう逆にメディア対策の餌じゃないの?」
『変なこと書いたら根付さん殴る』
「あ、この間、影浦先輩がやらかしたらしいのでやめておいた方がいいですよ」
『え、ナニソレ聞いてないぞ私』
と、こんな会話をしながら直接本部へ報告した後、鈴鳴のみんなとは別れ、私たちも玉狛へ戻る。
「よお、おかえり」
『あれ、悠一。今日は夜勤じゃなかったの』
「シフト変わったんだよ」
そう言ってぼんち揚をぼりぼりと食べる悠一が、そういえば、と何かを思い出す。
「あらしや『違うから!!!』
「え?」
『私、准と付き合ってないから!っていうか幼馴染ならそれくらい汲み取れ!!』
「瑠唯、さすがにそれは理不尽よ」
「…え?なんの話?」
『え?』
とぼけた様子でもなく、本気で話がわからないらしい悠一は、嵐山に学祭誘われたんだけど、お前当日何してんの。と聞いてくる。
『…店番してる…』
「へえ。じゃあそれ終わったら回ろうぜ。
…で?何を俺に汲み取れって?」
『…何も無い…っていうかあんたそもそも知ってるんだった……』
今日3度目になりそうだった話題に食い気味で言った自分に後悔しながら、先に寝る。と告げ、パパッとお風呂を済ませ、眠りについた。
「…迅、気持ち悪いわよ、主に顔が」
「悪口かよ」
「よかったですね、全力で否定してくれて」
「一応まだ負けてないからな?」
「さっさと告っちゃえばいいのに」
「…出来るもんならやってるさ。まあでも…"この関係"も案外悪くないし、崩したくはないかな」