ワールドトリガー
□第5話
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『えーーーと、これはどういう状況?何故私が高校生に捕獲されてるのかな??』
午後から准が防衛任務だったので、数少ない仲の良い友人と2コマ受けた後、夕方からの任務の為に一度支部へ向かおうとすれば、門の前で何故か制服のままの公平と陽介くんに捕まった。
「今日俺達と防衛任務ですよ瑠唯さん」
『知ってるけど…』
「逃げるかもしれないからって俺も頼まれたんですよ〜」
『はあ?任務放棄するわけないっつーの!てか、それ言ったの絶対城戸さんでしょ!もうちょっと信頼してほしいわ!!』
「前科があるからですよ」
そう言われ、うっ、と言葉を詰まらせれば、陽介くんに、え、逃げたんスか?と尋ねられる。
「ああ、まあ逃げたっていうか…任務前日に太刀川さんと喧嘩して別行動になって、結局瑠唯さん1人で全部解決したっていう」
「……」
『しょうもないって思っただろ…!!あれは9割9分太刀川さんが悪いからね…!
大体、私が居なくても太刀川隊は成り立ってんだもん。"そういうこと"してくる上が嫌いだ』
「"そういうこと"…?」
「お前聞いた事ねえの?瑠唯さんの本部異動の話」
へえ、なんで今更。と言う陽介くんに、ほんとそれ!と同意をすれば、前からなんでしょ?と、公平に痛いとこを突かれた。
『だってさー……』
「……あー、なるほど…。本部に移動した時に太刀川隊に入る可能性が高いから、っつーこと?」
「そ。瑠唯さんの実力でB級はありえねえし、性格上、自分の隊は作らないだろうから、いっその事どっかにぶち込めっていうアレ」
『それにしてもやり方が狡いんだよ、本部は』
…こういうとこがあるから好きになれない。それなのに本部所属となれば、今まで以上に城戸さんからの指令を直接聞かなければならないのだ、嫌に決まってる。
「フリーじゃダメなんだ」
「ダメってわけじゃないだろうけど、どっかとの連携は取れるようにしとけってことじゃねーの?」
『まあ…何にしろ、私は本部に異動はしないよ。みんなと過ごすのは好きだけど、それと同じくらい嫌なことがある』
「……」
「(…嫌なこと、ねぇ……)」
『……で、君らはいつまで私の腕を掴んでるつもり?』
「あ、本部までこのままで」
『いや、待って、ちゃんと本部には行くから。今日支部にアステロイドのトリガー忘れたから取りに行きたいんだけど』
「あ、それなら俺が預かってます」
『用意周到か!!』
――――――
「んじゃ、パパっと行って帰るか」
『安定に唯我は居ないんだね』
「お荷物だからな」
「じゃあみんな行ってらっしゃーい」
『行ってくるね柚宇ちゃん!!』
むぎゅうっと彼女を抱きしめたあと、私たちは飛び出る。
「あ、太刀川さん。俺達、結局嵐山隊と合同になったんですか?」
「らしいな」
『あれ、そうなの?』
ぴょんぴょん、と家の屋根を伝いながら、柚宇ちゃんの指示で集合場所へ向かう。
《嵐山隊先に着いてるみたいだよ〜》
『《りょーかい》』
屋根から飛び降り、嵐山隊と合致すれば、1人余計なのが居た。
『…なんで悠一までいんの』
「ちょっとな。割とやべえことになりそうだから来た」
『へえ…』
いつものふざけたトーンではあるが、結構真剣な雰囲気を汲み取る。
…と、その時、
ヴヴーーー!!
"門発生、門発生。座標誘導誤差6.34"
「きた」
『!…いつものヤツに……なんだ…こいつら…?』
「《もしもし本部?こちら合同部隊、新たなネイバーと遭遇。
…戦闘を開始する》」