ワールドトリガー
□第4話
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『ほぉ、体育祭?』
「そうです。瑠唯さん来てください。手作りのお弁当を持って」
「おい、菊地原…」
防衛任務の帰り、ボスと共に本部へ報告をしに行った後、1人で食堂へ向かっていれば、風間隊のきくっち(菊地原)とヒロシゲ(歌川)に出会った。
…蒼也さんは一緒じゃないのか…。とは言わなかったが、多分顔に出てた。
で、話が戻るが、きくっちが唐突に体育祭の話をしてきたのだ。
『いや、まぁお弁当はいいけど、きくっちもヒロシゲも進学校でしょ?
…犬飼がうるさいんだよな』
「「…あぁ…」」
何となく察してくれたが、譲る気はないらしい。
犬飼先輩にバレなきゃいいんですよね。学年違うんで会わないですよ。ときくっちが言えば、そんなのわからないだろ、と突っ込んだヒロシゲ。
「犬飼先輩、瑠唯さんを見つけるのは恐ろしく早いですからね」
『ニノさんはすぐ見つけらんないのにね』
「ホントに」
「おい、怒られるぞ」
とりあえず、来週待ってますね。と、言い切ったきくっちにどうするか…と悩んでいれば、瑠唯。と名前を呼ばれ振り返る。
『!!蒼也さーんっ!』
「あ、風間さん」
「お前ら揃って何してるんだ」
私の頭を撫でながらそう言う蒼也さん。
…ああ…相変わらずカッコイイ…。
「今からご飯です。風間さんも行きましょう」
「あぁ」
結局、風間隊の3人と共に食堂でご飯を食べることになり、各々好きなものを注文してテーブルに集まれば、みんなのご飯の量に驚いた。
『…そうか、みんな食べ盛りなのか』
「お前は意外と少ないな」
『蒼也さん、意外ってなんですか意外って』
「お前の活動量を考えて言っただけだ。その量で補給出来るんだな」
「確かに…。菊地原より少ないんですね」
「何で僕基準なの」
と、会話をしている途中で思い出す先程のこと。
『そうだ、蒼也さん来週の今日空いてますか?』
「…先に要件を聞こう」
『きくっち達の高校で体育祭やるらしくて、一緒に行きません?』
「………」
「風間さんも来てくださいよ。頑張るんで」
「お前出場種目少ないくせによく言ったな…」
『きくっちとヒロシゲにお弁当作るんですけど、1人で持っていって見るのってちょっと寂し「弁当?」
言葉を遮るようにそう尋ねてきた蒼也さんに、2人にお弁当を作るんです。と言えば、どこか考える素振りを見せる蒼也さん。
「…行く」
『ですよねー、行きませんよね……え?』
「だから、行くと言っている」
『!ホントですか?!』
おお〜。と何故か拍手が起こり、2人からその日の詳細を聞いておく。
『じゃあまた私から連絡しますね、蒼也さん』
「…瑠唯」
『?はい、なんですか?』
「昼は俺たちも弁当にしよう」
『…と、言いますと?』
「…俺の分も頼む」
『!!は、はい…』
まさかのお願いにニヤけそうなのを堪え返事をしておいた。
…ああ、お弁当気合い入れて作んなきゃな。
――なんやかんやで当日。
「あれ、瑠唯さん、随分朝早いね。私と一緒なんて」
『今日は風間隊のためにお弁当作ってるからね〜』
「え!?なんで!?どうしたの!?遂に!?」
『(遂に…??)いや、きくっちが"お弁当作って下さい"って言ってきたから、ヒロシゲの分も…って。
あ!蒼也さんにもお願いされてさ…「へえ〜、んじゃあ俺もお願いしようかな」
『!?悠一!』
「あ、迅さん。おはようございます〜」
「おー、宇佐美おはよう」
『なにしてんの?!』
当然後ろから現れた悠一に驚けば、そんな驚くか?と笑うアイツ。
「いい匂いがするな、と思って来てみりゃ、珍しく早起きして料理する奴が居たからな。
で、なんで弁当なんか作ってんの?」
『今日、進学校組が体育祭で、きくっちに頼まれたから風間隊に作ってんの』
「へえ、なんで風間さんの分まで?」
『あぁ、お昼休憩はお弁当でいいって言ってくれて…。…連れて行かないからな』
先にそう言えば、えー、と渋る悠一。
…当たり前だ。あの蒼也さんと(擬似)ピクニック的なのが出来るのに邪魔されるわけには…!
「じゃあ、もう風間さんに許可取ってるって言ったら?」
『えッ、なにそれ、ホント?』
「ホントホント」
『(これは一度蒼也さんに連絡取ってみるか…いや、でももうそろそろお弁当完成させて準備しなきゃだし、蒼也さんにわざわざ連絡するのは……)』
と、悩むうちに、時間やべえぞ〜。と何故か悠一に急かされ、結局悠一の分もパパッと作って一緒に行くことになった。
『悠一!ちょっと待って!色々準備するから!!』
「玄関で待ってる」
「…迅さん、ホントに風間さんに連絡取ってるの?」
「アハハ、まあ何とかなる。俺のサイドエフェクトがそう言ってる」
「……瑠唯さんに怒られても知らないよ?」
「おう、ご心配をありがとう。宇佐美は弁当どうしたの?」
「昨日ここで泊まったからねー。今日お昼休憩に家族にもらうよ」
「そうかそうか」
なんてバタバタしてた私は知るわけもなく、待ち合わせ場所に行ってから知ることになるのだった。