ワールドトリガー
□第0話
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――彼女はそこに、静かに佇んでいた。
その小さな背丈には似合わない長さのトリガーを持ち、山積みにされたネイバーの前に。
「………」
『……ねえ、悠一。
私は……生きてる……?』
「あぁ、生きてるよ」
『…そうか…生きてるんだ』
残念だな。と乾いた笑いを零し、彼女の視線の先を見つめる。
そこには、粉々に崩れた彼女と家と、横たわる彼女の家族が2人。
「……瑠唯」
『…何もかも…無くなっちゃった……』
「…っ!!」
涙を流す彼女を強く抱きしめても、抵抗もされない。
『悠一…私……これから……「大丈夫」
「大丈夫だ。お前には俺がいる。一緒に生きよう」
『…ゆう、いち……』
「だから…頼むから……
お前までいなくならないでくれよ」
…あれから、約4年が経とうとしていた。
「よう、無事か?メガネくん」
「え……」
『ボサっとしない。早く安全なとこに行って』
「は、はい!」
「相変わらず言葉がキツイな」
『普通だし。ほら、来るよ』
俺たちの関係は何も変わらない。
あの頃のまま、大人になっていた。