僕のヒーローアカデミア
□第1話
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「さあ!始めようか有精卵共!!戦闘訓練のお時間だ!!」
そう言って一通り皆のコスチュームを見ると、オールマイトは良いじゃないか皆!カッコイイぜ!と言った。
『(まぁ、この服着て実際に戦闘する可能性もなきにしろあらず、か…)』
…途中で変更は出来るっぽいし、また今度はちゃんと要望出そう、うん。そうしよう。
なんて考えていると飯田くんが手を挙げた。
「先生!ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか!?」
「いいや!もう二歩先に踏み込む!屋内での対人戦闘訓練だ!」
『(確かに、犯罪が多いのって屋外よりも屋内だし…まぁ、よく目撃されるのは屋外だけど)』
ヒーロー側と敵側に分かれ、2対2の屋内戦が行われることに。
「…おっと、そういえば、このクラスは21人だったかな?」
「そうですね…」
「1チームだけ3人になるが…まぁそれは頑張りたまえ!!」
「基礎訓練もなしにするの?」
「その基礎を知るための実践さ!ただし、今度はぶっ壊せばオッケーなロボじゃないのがミソだ!」
オールマイトがそう言うと、各々が思った疑問を彼にぶつけていく。
途中、麗日さんの「また相澤先生みたいな除籍処分とかあるんですか?」という質問に引っ掛かったが、きっと昨日それらしいことが起こったのだろうと納得した。
『…で、詳しいルールは?』
「うむ!」
設定自体が少々日本離れしているが…まあそれは置いておき。
敵がアジトに核兵器を隠し、それをヒーローが処理する。
ヒーローは時間内に敵を捕まえるか、核兵器を回収すればクリア。
敵は時間内まで核兵器を守るか、ヒーローを捕まえればクリア。
『(…成程、核兵器って言うとなかなか身近な感じはしないけど、爆弾とかなら日本でも有り得そうだよなぁ…個性でそういうの作れる人居そうだし。なかなか面白そうかも)』
「コンビ及び対戦相手はくじだ!」
「適当なのですか!?」
「プロは他事務所のヒーローと急造チームアップすることが多いし、そういうことじゃないのかな…」
「成程!先を見据えた計らい…失礼致しました!」
「いいよ!早くやろう!」
くじを引けば、同じチームとなったのは…。
「よろしくね!嘉風さん!」
「よろしく」
『こちらこそよろしくね、葉隠さん、尾白くん』
「ねえねえ!嘉風さんの個性ってなんなの!」
『…そっか、作戦立てるのには、必要な"情報"だよね。試合前に教えるね』
わーい!と喜ぶ葉隠さんに、可愛いなと思いつつ、1番目の対戦…緑谷くん&麗日さんvs爆豪くん&飯田くんの試合を別にあるモニタールームで見ることに。
「さあ君たちも考えて見るんだぞ!」
ヒーローチームの2人が中へ入り、少し進んだところで爆豪くんの奇襲。
麗日さんを庇い、その後まるで動きがわかっていたかのように、爆豪くんの技を上手く躱した緑谷くん。
『(すごい…あの2人幼馴染、だったっけ…。それにしては、爆豪くんの反応が気になるな…)』
…まるで、初めて見る、未知のものを相手してるみたいな反応。
でも緑谷くんの個性は私は知らないし、見た感じだと普通に爆豪くんの方が優勢な感じはするなぁ。
と、音声が遮断されたモニターをじっと見つめていると、舞、と名前を呼ばれる。
『ん?』
「眉間のシワすごいよ。なに、考え事?」
『え?あ、ごめん。真剣に見てたからかなあ』
響香に言われ、ふぅ、と眉を下げれば、クスリと笑われた。
それから、麗日さんが核のある飯田くんの元へ辿り着き、核に触れようとするもそう簡単にはいかない。
一方の緑谷くんも爆豪くんに足止めを喰らい、防戦一方のまま時間は進んでく。
『(これは、なかなか厳しいな……)』
ヒーローチームの勝機が徐々に薄れゆく。
戦闘を見た限り、爆豪は見た目とは裏腹に無駄のない繊細且つ確実な攻撃を仕掛けるタイプ。
….ただの単細胞じゃなかったんだ。(失礼)
『(でも、あのままじゃこの訓練の意味がわかってないな)』
あくまで授業の一環で戦闘訓練を行っているのだ。私情を挟んでいいものではないだろう。
…オールマイトは止めないし、展開が割と面白いから私は楽しいけど…。
闘いが激しくなるにつれ、爆豪くんの爆発は威力を増していく。ただ、優勢であるはずの彼に余裕がなくなってきているのもまた事実。
『(何をそんなに、彼を追い詰めているのか…)』
2人の言い争いがヒートアップし、遂に互いの拳がぶつかろうとした時、緑谷くんはその拳を上へ向けた。
そして、その真上に居た麗日さんの周りには瓦礫が。
『!(成程…そもそも、緑谷くんにとっては爆豪くんと闘うことが1番の目的ではなかった、か…)』
…趣旨を理解しているのはいいけど、何あの個性?腕一瞬でボロボロになったけど大丈夫?
色々なことを思ったが、とりあえずオールマイトのヒーローチームWIN!と声が響き渡ったところで、1回戦目が終了した。
「負けた方がほぼ無傷で、勝った方が倒れてら…」
「勝負に負けて、試合に勝ったというところか」
「訓練だけど」
オールマイトが3人を連れ、戻って来れば講評が始まる。
「今戦のベストは飯田少年だな!」
「なな!?」
「勝ったお茶子ちゃんか、緑谷ちゃんじゃないの?」
「何故だろうな〜〜〜!!わかる人!?」
「はい、オールマイト先生」
オールマイトが尋ねた瞬間、スっと手を挙げたのは隣に居た百だった。
「それは、飯田さんが一番状況設定に順応していたから」
百の怒涛の解説が始まると、思わずたじろぐ皆。
オールマイトは少し悔しそうに親指を立てて、正解だよ、と言った。
「常に下学上達!一意専心に励まなければトップヒーローになどなれませんので!」
『百カッコよかった…すごいね……』
「そ、そんなことないですわ!」
と、照れながらも嬉しそうな百。
じゃあドンドンいくぞー!とオールマイトがくじを引けば、早速敵側として私達のチームが出た。
…ヒーロー側には轟くんと障子くんか…。
『ん〜…じゃあまぁ、行こっか』
葉隠さんと尾白くんと作戦を立てながら、私達は訓練場所へ向かった。