恐怖映画
□甘やかし悪夢
1ページ/1ページ
おめめがさめたら、おひめさまが住んでるみたいなおへやに立っていて、かがみを見ると今夜はおようふくがフリルがいっぱいのふわふわかわいいピンクのドレスになっていた。髪の毛もリボンでふたつむすびだ。
それを全部見てああ、ここがフレディさんの作ったゆめの中だってすぐわかる。
後ろからフフフと喉を鳴らすような笑い声が聞こえる。ほらやっぱりね。
『フレディさん』
「やぁ今晩は俺のスイートハート。プレゼントだよ。」
そう言って渡されたのは、私が今日おもちゃ屋さんから覗いていたかわいいおひめさまのお人形。
でも私はみんなが言うように、このおひめさまの人形が似合うようなかわいい女の子じゃないから、頭の中に疑問が浮かぶ。
『フレディさんフレディさん』
「ん?何だ?」
『フレディさんは夢魔なんだよね?』
「当たり前だろ急に何だ」
急に何だはこっちのセリフだよ。今までさんざんおないどしの子やお姉さんお兄さん達を殺して来たのに、毎晩私を夢につれこむくせに殺さないのがおかしい。でもそれを言っちゃうとまた「子供がいちいち細けぇ事気にするんじゃねえよ。こう言うのは素直に喜べばいいんだよ可愛くないヤツ」と言われてしまうので諦めてる。
そんな私をよそにフレディさんは指を鳴らすと長いテーブルの上にたくさんのケーキ。どれも絵本でしか見たことがない大きいかったり高かったり小さかったりカラフルで、2人分の椅子とお皿や紅茶も現れた。(ちゃっかり広いテーブルに隣同士に並べられている)
ど真ん中に置かれてる一際でかいウェディングケーキを見上げると横からフレディさんに「まだウェディングケーキは早かったかい?」と茶化されたからむかついたので人形の手でペチッと叩いてやった。
「ほれなまえ、あーんしてやろう」
『……』
「何だ遠慮する必要ない、ダイエットはよくないぜお嬢ちゃん。なんせここは夢の中だから太ることもないしな!」
枯れた笑い声で一口大に切り取ったチョコレートケーキをフォークで私の口元に突きつける。
『フレディさんは恐怖の殺人鬼だよね?』
「さっきから何だよそんなの今更だろ?」
『…』
フレディさんはそれからずっとリスにえさやりするみたいに私のお口にケーキを食べさせてまんぞくすると、ベットに連れてかれると、胡座の間に私を乗せて絵本を読み聞かせした。
今日は【フレディのホッケーマスクの戦い】を読んでくれた。ほとんどフレディさんの話が盛っていた。
「おっ、そろそろ目が覚める時間だな。今日はお絵かきの授業があっただろ。絵の具忘れるなよ。」
と言うと私の頭をわしゃわしゃ撫でておでこにちゅうすると「また今夜な」と言われたのが最後。
目が覚めたらいつものベットの上で隣にはあのおひめさまの人形。きっとあのドレスはクローゼットにまたコレクションされてるかもしれない。
私は呆然とベットから起き上がれずにいた。
『悪夢とは一体…』
甘やかし悪夢
【「おはよーなまえちゃん。きいてよ!わたしあくむみちゃったの。怖かった〜」
『わたしも見たよ』
「えっ!?どんなどんな?」
『ドレスを着てケーキを食べて絵本を読み聞かせされた。』
「なまえちゃんそれ悪夢って言うの?」】