恐怖映画

□家族相談
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※フレディの娘マギーが登場します。
ヒロインは会話にだけ登場します。設定の概念は捨ててください。



かの有名な夢魔殺人鬼フレディ・クルーガーの実娘マギー・バローズは非常に苛立っていた。

というのも、滅多刺しにした上仕上げに爆殺してやったはずの憎き血の通った実父でもある本人が目の前にいるからだ。もうここで何故生きてるかなんて聞くだけ無駄だ。

自分に何をするつもりだろうか、隙を見て逃げ出さなくてはという考えで頭がいっぱいで目の前で甘い香りで誘惑するアップルパイに手をつけずにいた(そもそも此奴からのに手をつけること自体自殺行為だ)

しかも人を悪夢に引き込んでおいて当の本人は先程から一言も話さずそわそわしてるからほんとむかつく。

「ねぇ、なんのつもり?」
痺れを切らして聞くと、実父はあー、そうだな、うーん、とらしくもなく悶えている。

「なぁマギー、質問なんだが…」
「?」
「もしもパパがお前と同年代位の女を妻にしたらどう思う?」
「何それ新しい悪夢?」

何馬鹿なこと言い出すのかと思えば、もしもこのロリコンぺドフィリア男が夫なんて娘である私でも想像しただけで悪寒が走る。
でもこんな質問をするという事は気に入った子でも出来たのかと、パパというのをやめろ聞くと意を決して説明し出した。「釣れないなプリンセス」とか言い出すから足を思いっきり踏んでやったわ。

「あー…そのだな、俺はなまえにプロポーズするつもりなんだが」
「えっ!なまえを?」

信じられないというより驚いた。確かに最近気に入って殺さないでおこうと思う子が出来たとは聞いた。それが私の信頼しているなまえだとも知っていたが、まさがそれ程ぶっ飛んだ展開になるとは思わなかった。

娘の私にも惜しげもない愛情をくれる料理上手な女の子。考古学者で会うとよくいろんな話をしてくれるなまえには母親の面影を感じ私自身も身を預けてしまう位優しい女の子だ。

「そりゃ私は、なまえが私のママになるのは大歓迎だけど…」
「そうかそうかそうだよな!」
「いやでもなあ…」
「なんだ?俺の見た目なら生前の姿に変えることは出来るぞ?」
「いや、あなたみたいなのが夫になるなんて可哀想だと思ってる」
「失礼だなちくしょう!」

否定しないところ自覚があったのだろうフレディは、自身の欠点は直すよう心がけるとか言い出す始末でほんとに殺人鬼か。

「なんて言えばいいんだ、それよりセッティングだな。まずこのボイラー室は絶対無しだな。そこでだ、マギーは舞踏会のセットと結婚式場どれがいいと思う?
なまえは童話が好きだからロココ調がいいよな?ドレスは白で…」

「ちょっと待って。そんないっぺんに話されても困るわ。あと結婚式場はまだ早い。ウェディングドレスなんて早すぎる」

夢膨らんで紅茶があちこちで浮いたり花が周りに咲き出したりとフレディの本心がダダ漏れしている空間に呆れながらも本人を落ち着かせる。

普段のニヤニヤと腹立つしたり顔を浮かべて相手を恐怖に陥れる姿なんて別人な程本気で惚れ抜いているらしいその姿に毒気が抜けてしまう。

「まぁそれ程までに愛してるって事よね。まぁ私から言えるのはなまえを傷つけないでって事と、責任をもって愛してあげて悲しませないでよね。
なまえまで私やママと同じ思いをさせたら今度は滅多刺しだけじゃ済まさないわよお父さん」

不思議と責める気持ちはなく伝えると「もちろんだとも」と父はまんまるな目を細めて至極幸せそうに笑った。


【「なんだ、そんな笑い方もできるんじゃないの」】


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