戦う聖女の選んだ未来

□Episode:1
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覚悟していた。

『死』という結末を…。

それが運命ならば、受け入れるべきだと思ったのだ。

それが神が与えた終わりの形なら、何を悲しむ必要があるのだろう。


「火を放て!!」

彼女は十字に張り付けされている体の力を抜き、全てを受け入れ、静かに目を閉じる。

処刑人が彼女の足元に火を付けると、瞬く間に火は勢いを増し、彼女の素足に炎が襲う。

これが運命ならばと受け入れたはずだった。

けど…その熱さが、その痛みが、彼女の理性を崩した。


「まだ、死にたく、ない…」

出ないと思っていた涙が頬を伝う。

そんな気持ちとは裏腹に、自分の命は削られていく。

足元の炎は天を目指すようにジリジリと迫り来る。

一度恐怖してしまえば、冷静になれるはずもなく、ただ死を前に怯えていた。


「僕は、まだ生きていたいんだ…!」

そして遂に火は更に勢いを増し、彼女を覆った。

彼女の意識はその瞬間、失くなった。




この時はまさか、時空間を超えてしまうなんて思ってもみなかった…。




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