俺が魔王を倒すまで?!

□冒険の序章
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「2人とも早く起きなさーい!学校に遅れちゃうわよー?」

母親の急かす声を聞いて俺の意識は覚醒した。それまでは寝てるような起きてるような不思議な感覚で身体を動かそうとはしてなかった。でも夢なのか現実なのか誰かが呼んでいる気がしてならなかった。

母親の声でない女性の声が聞こえた気がしたのだ。もし夢だとしたら俺はどれだけヤバイ奴なのかと言う疑惑が発生してしまうなと考えていたがその考えを一気に振り払い現実に戻ってきた。

母親が声をかけると言うことはそろそろヤバイ時間と言う事で一気に目が覚めたのだ。

慌てて俺は制服に着替えネクタイを首にかけて部屋を出る。部屋を出たタイミングで寝癖をつけたままの妹に出くわした。

「わぁ!びっくりした…急に出て来ないでよお兄ちゃん!って言ってもお互い様だよね。うぅ、気を取り直しておはよお兄ちゃん!」

「あぁ、はよー。お前がこの時間まで部屋に居るの珍しいな?」

「昨日、面白い本を読んでたら寝るの遅くなっちゃったの!ってこんな所で話してたら遅れちゃうよ!急ごお兄ちゃん!」

寝癖の事を伝える前にバタバタと下に降りて言ったのが2つ下の俺の妹である。妹はかなりの天然でよく怪我をしたりする。たぶんそのうち…

「……ッ!イッターい!!」

やっぱり聞こえてきた。どこかに足の小指でもぶつけたのだろう。大抵、慌ててるときは必ずと言って良いほど見事に足の小指をぶつけるのだ。これも日常みたいなものだ。俺はそんな事を考えながら下に降りた。

「もう!いつもいつも同じところで怪我しないでね!いつまでたっても落ち着きがないんだから!少しはお兄ちゃんをみならいなさい」

「はよー。母さん、それぐらいにしてやってそろそろ出なきゃマジでヤバイ。途中までは俺が送ってくから安心してて。ほら痛がってないで行くぞ?朝飯のパン行きながら食うからさ、母さん行ってきます。」

「あ、待ってよお兄ちゃん!お母さんご飯ありがとう!行ってきます!!」

「気をつけて行くのよ?行ってらっしゃい〜!」

先に玄関を出て妹を待っていると慌てて妹が飛び出してくる。勢いのまま俺にぶつかって転びそうになる妹の腕を慌てて掴み転ぶのを阻止した。

「あぶねーだろ?さっき小指をぶつけて今度は転けるつもりか?ほら寝癖も直ってないし」

妹がしっかり立った事を確認して手を離し寝癖がついている所を撫でる。

「〜〜っ。あ、ありがとう、ごめんね?お兄ちゃん」

「直ったな。よし、少し急ぐぞ」

「うん!」

俺らが通う学校はここら辺では近い方で駅2つ違い。妹の方が先に降りるのでそれまでは同じだ。家から駅は割りと近くて走れば10分かからないぐらいだ。

なんとかいつも乗ってる電車に乗り込み息を整える。今日はいつもより電車が混んでいる。

「…お兄ちゃん間に合って良かったね。後、気になってたんだけどね?お兄ちゃん今日、具合悪いの?」

こいつは変な所で勘が良い。まぁ具合が悪いわけではないが少し引っ掛かる事があるのだ。

「平気だよ。それよりもうすぐお前の最寄りだろ?気をつけて行けよ?」

「うん!もうしっかり目も覚めてるし大丈夫だよ。お兄ちゃんも無理しないでね!」

電車に乗ってから20分弱、妹の最寄りに着き、妹と別れた。閉まった扉の奥で手を降ってから改札の方に歩いていく妹を見送り扉を背にして最寄りに着くのを待った。
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