上司との短編

□涙のあとは
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「もう別れないか、俺たち」


「えぇ、さようなら」


「おまえは結局、俺のことなんか見てなかったんだよ」


男はそういうと酒の入ってるグラスを一気に飲み干して店をあとにした。


彼氏を作ってもすぐにダメになって、こんな別れ方の繰り返し。


でも辛くない。


あれ以上に辛い別れなんて、わたしにはないから。




「あのさ、佐藤さん。いい加減、男と別れて無意識に俺に連絡してくるパターン辞めない?」


「可愛い後輩が泣いてるんですよ?慰めてくださいよ、秀星先輩」


「泣いてるんじゃなくて俺には自棄酒に見えるけど?」


呆れながらため息を吐くもわたしが連絡をすると必ず駆けつけてくれる優しい人。


高校時代からの先輩で、彼の親友。


「秀星先輩。今ごろ湊先輩、なにをしてるかな?」


「さぁ…」


「ふふ、困らせちゃいましたね。帰りましょう」


こんな日は問答無用で湊先輩のことを思い出す。


あのキラキラ輝いて湊先輩に恋した日々を。そして、


湊先輩から別れを告げられたあのときを…。
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