遙かなる時空の中で3連載

□第3話
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「こっちで結婚したぁ?」

ブッと食べていたものを吹き出しながらそう言うものだから側にいた維盛は一瞬で嫌な顔をし。
知盛が不敵な笑みを浮かべたのは言うまでもない。

「これだから得体の知れないものは!」

「なかなか面白そうな男だ。」

「知盛に気に入られたみたいよ将臣。」

「そうか、じゃねえよ!
どこの誰なんだよ相手って。」

「清盛の甥っ子でかなりのブラコン。」


将臣の開いた口が益々ふさがらなくなったのは言うまでもない。


朝餉をすませ。
早速将臣を紹介しようと二人で経正の屋敷へ向かっていた。

「おいまゆ子、マジなのか?
結婚したって。」
「なんどもいってんじゃん。
私も、将臣たちを見つけるまではと思っていたんだけど清盛の計らいでこうなったんだ〜。」
「の割には嬉しそうだよな?」
「経正だったから。
私だって経正じゃなければ断っていたとこよ?」
「帰ろうとは思わねえのか?」
「うーん、ほんとに帰れるのなら迷っちゃう。
でもきっと将臣もきにいると思うよここでの生活がね。」


ただいま。
そう門番に言うとお帰りなさいませと門をあけてくれお礼を言って中に入る。

「ただいまー。」
「お帰り、まゆ子。」
「この人が私の旦那様の経正よ。
経正彼が私の幼馴染の一人有川将臣。」
「ようやく一人見つかったのですね。」
「うんっ。」
「よろしくな経正。」
「こちらこそ。」
「あっちゃんはいない?」
「ええ今日もどこかへいってしまったようで。」
「そっか紹介したかったのにな。」

「また会う機会もありましょう。」
「あ、そうだ経正。
将臣にもこの時代のことを色々教えてもらえないかな?」
「喜んで。」


こうして、新たに将臣を含めた新しい生活が本格的に始まった。


でも、平家は将臣が来る以前から少しずつ衰退の一途を辿り始めていた。
戦でも負けが込み始めそして死者もで初めその中の一人があっちゃんで。
物凄くショックを受けた経正を見かねていけないことだとは思っていたけど怨霊として蘇らせてはどうかと私は提案してしまった。

その結果あっちゃんを怨霊としての苦しみを味あわせることになり、こうしてよく家をあけることが増えたのだ。

周りの目を気にしての、行動だった。


「あっちゃん。」

「まゆ子ここに来ては行けない。」

「いいじゃん。
別に私が来たかったんだし。」

罪悪感もあって私は彼が良く行くと言っていた鳥辺野を時折訪れる。
少しでも、気を楽にしてあげたくて。
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