結界師 長編
□コメディ
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夜行のとある昼下がり。じりりと太陽が照りつける中、翡葉は若き戦闘班主任の巻緒慎也と訓練をしていた。
「翡葉…俺は具現化した影を蔓状にして戦ってるから距離もそこそこ取れるし応用も効くが、お前は腕に寄生してる蔓を伸ばすわけだから何か飛び道具を使った方がいいんじゃないか…?」
「飛び道具…クナイとかですか?」
「あぁ…クナイは使えるな。いくつかその中に忍ばせとけ。」
「わかりました。」
「うおおおおおりゃぁぁぁぁあ」
ずどーん、と向こうの方から叫び声と共に地響きがした。
「…大吾、うるせー!!!」
注意を受けたのは逞しい体つきの青年、轟 大吾。
「これくらい豪快な方が良くない!?」
「ったく…うるさいのは名前だけにしろよな…」
「あー!!馬鹿にしたな!」
「いや、馬鹿だろお前は…!大体なんだ!どっからそんなでっかい玉持ってきた!?」
「企業秘密♡」
「第一、武光にそんな玉落とそうとすんな!くたばるぞ!!」
「拙者はこの剣でなんでも一刀両断!」
しゃきーんとポーズを決め高笑いをする武光喜朗。と一緒に豪快に笑う轟。
「馬鹿ばっかだ…ほんと、馬鹿ばっかだ…」
そんなコメディの様な訓練模様を眺めるは女性陣。
クールビューティな夜行No.2である刃鳥美希と、グラマラスな褐色肌の花島亜斗羅、そして、葉鳥美砂。
「あいつらほんと馬鹿みたいなことしてるわね〜」
「そうね。」
「どうして男ってあんなに馬鹿なのかしら…。」
そのあいだも、うわ、ぎゃー、どーん、でござるー!とかすこぶる騒がしい。
「あんな中にぶち込まれてる京一も哀れよねぇ〜」
「…そうね、なんだか不憫ね」
「アトラ、奴はすぐ慣れるぞ。外面だけはいいからな。」
「そーなの?」
「あら、随分となかよくなったのね。」
「…馴れ合いは不要。」
「……どこいくの?」
「水を取ってくる。今日は暑いからな…軟弱な奴らに倒れられるわけにはいかないだろう」
そう言ってどこかに行く美砂。
「随分と天邪鬼ね」
「ええ…随分と。」
馴れ合いはしないと言っておきながらもなんだ、かんだと気遣いをみせた彼女の影を見て微笑むアトラと刃鳥であった。