結界師 長編

□新入り二人
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ー翡葉sideー



誰かを傷付けたり、特に人を殺めたりしたわけでもない。
ある時自分の左腕の異変に気づいてからは周囲にバレないように過ごしてきた。

(随分と…老けた気がするな)

周囲に知られてはならない。
その思いから俺はどんどんいい子を演じるようになっていった。作られた笑顔の仮面を常にかぶり、本性は見せぬまま過ごしてきた。
心にずっと鉛を付けていたみたいだった。


『 京一!?どうしたの!?』

『 なんだ…その…左腕は……』

家族に知られた時、俺の一般人としての人生は幕を閉じてしまった。

(もう、ここにはいられないな…)

『 父さん、母さん、こんなやつを受け入れてる団体があるらしいから、俺今日からそこで暮らすことにするわ。』


家族との別れは無理をして作った笑顔で幕を閉じた。


夜行に身を寄せて変わったことは心にあった鉛が軽くなったこと。
それ以外は何も変わらないでいた…。
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