他校×他校

□春の訪れ
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3月5日 夜

今日は俺の誕生日でもある。
だが俺は来週の卒業式の翌日に彼のいるアメリカへと行く準備を着々と進めていた。
エスカレーター式で高校は問題がないため気はものすごく楽だ。
いっそアメリカに引っ越してしまいたい。
もしものために英和辞典を開いては発音を聞いて…今英語のテストを受けたらいい点が取れるんじゃないかなんてね。

すると電話が鳴り始めた。
この着信音は彼だ。
嬉しくて弾むような心を落ち着かせながら電話に出た


『どうしたの。リョ-マ君』

『どうしたのってさ,アンタ今日誕生日じゃん。遅くなったけどおめでと』

日本は18時を指している。時差はだいたい14時間…ならあっちは4時。

『ありがとう。だけど今そっちって4時だよね?』

『もうそんな時間になってるんだ,』

もう。その言葉に俺は疑問を抱いた。
もしかして彼は今此処にいるのではないかと。昨日は丸1日彼からのメールの返事はない。


『ねぇ,今何処にいるの?日本なんて言わないよね?』

『やっぱ気づくの早い。日本にいるよ』

『あのさ,なんでそんなに唐突に来るのかな。』

『一昨日の電話で会いたいって思ったから来ただけ。んで明日幸村サンの家行こうとしてたし』

『で、今日はどこで寝るの?』

『家帰っても誰もいないんでホテルっす』

中学1年生がホテル…この子はほんとに…

『許すと思う?』

『思わないっす。なら不二先輩』

『もっと駄目。』

黙り込んでしまう彼。
不二の家なんて襲われるし変なこと吹き込まれるって思わないのかな…

『はぁ,もう少し計画性をもってもらわないと困るよ。今何処?』

『菊丸先輩の家の近くの公園ッす』

電話の外から聞こえるうるさい声は菊丸と桃城か。
世話の焼ける子だ

『ふーん。そう。迎えに行くから動かないで』

『え,ちょっとま…』

待っては聞かないこと知ってるくせに。
部屋も片付けずに上着を羽織り外へと出た。神奈川から東京…そう遠くはない。

暫くして言っていた公園についた。

『リョ-マ君…。その二人はもういいよありがとう。』

幸村怒ってるにゃなんてひそひそと話す声も聞こえた。そんなことはどうでもいい
公園の入口に隠れてる事も見え見えだ

『はぁ。もう少し危機感持ちなよ。だいたいさホテルに未成年1人ってどうなの?変な人に襲われるに決まってるじゃない。で次は不二?彼の家に行かれるとか俺の我慢が持たない』

『ごめん。』

『反省してるの?』

『はい』

『そう。なら帰ろうか』

え,と声が出てきそうなくらいきょとんとした顔でこちらを向いてきた。

『俺の家おいでって言ってるの。何のために迎えに来たんだか…俺の誕生日なんだし一緒にいてくれてもいいでしょ』

『ありがと。幸村さんと一緒にいれるの嬉しいッす』

『リョーマ君…君ってほんとかわいい。』

『ん,苦しいっす』

『よし,帰ろう。』

彼の手を引いて歩き出した
木陰で見つめるふたりに礼はいつかすると言葉を置いて
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