他校×他校

□結ばれるもの
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これは“運命”だったのか。
常に貴方の事を思い,幾ら手を伸ばしても届かない。
諦め無ければならない事は分かっている。
だけどその気持ちは涙と共に外へ出ていくんだ。

あの人は今どうしているの…?

あの日のことはもう忘れているの?
そう…人気の少ない城下町のはずれ,私は忘れてなどいない。
城からこっそり抜け出しているところに出会い他愛のない話をしたこと。
あなたが素の自分で国民に対し話をしてくれたこと。
私は忘れていません。
貴方は忘れてしまいましたか?
“いつか会いに行くから”なんて言葉はやはり叶わないのか。
締めつけられる心を癒そうと思い出の場所へと今日も向かう。
貴方が居てくれる…そう信じて。

そうここが二年前貴方と初めて話した所。

ただ風に吹かれる枯葉の音しか聞こえない。

もうここに来るのは最後にしよう。

諦めは時に重要…遠くから見てられるだけでいい。

“今日が最後”その気持ちを胸にベンチに腰を下ろした。

あの時を思い出すかのように涙が零れ落ちる。
諦めの気持ちを表す涙だと信じ流しつづける。

『お前。何泣いているんだ?』

この声は覚えている。いつも城の上から聞くこの声。彼が現れたかのよう頭に声が届く。
いる訳わない。

『周助。無視か?二年前…覚えてないわけ無いだろ?』

『…景吾様』

『おい,前みたいに景吾って呼んでくれよ。』

あぁ。なんで。これは夢なの?
なんて残酷な夢なんだろう。
貴方がここにいる訳は無い。

『周助…何を言ってるんだ。これは夢じゃねぇ…』

『何でここにいるの…?』

『約束しただろ会いに行くって…いや,違う。俺はお前を迎えに来た。』

あの日の事覚えてくれたんだね。
ありがとう景吾…
今日ここへ来て良かった。
感動の涙が次々と流れる。今日はよく泣く日だ。



『おい,聞いているのか?返事をしろ…』

『ごめんなさい。もう一度お願いします。』


『こうして二人になるのは2年ぶりだな。俺はお前のことをずっこ忘れる事など出来なかった。父上が亡くなった今俺は国王となった。そして多少の自由を手にしたんだ。だから… 』

一瞬何を言ったのかは理解出来なかった。
だがこの言葉が頭に残った。

“俺の姫になって欲しい。”

そう聴こえた。これは聞き間違えなのか…

『景吾…今なんて…』

『ったく…だから俺の姫になれって言ってんだよ。』

聞き間違えでは無かったようだ。
その驚きに声が出ず固まった。

『答え聞かせてくれないか?』

『Yes.』

もちろん答えはYes。付き合うなんて事はしなくてもいい。
2年間思い続けた。
片時も貴方の事が離れなかった。
神様がいるのならありがとう。
ものすごく幸せ…。

『これからよろしくな周助。』

『こちらこそ。』

さっそくドレス選びに行くぞなんて嬉し涙の私を慰める事なく手を引かれた。


童話のお姫様のように。

そしてこれが私たちの“運命”だった。

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