跡リョ短編

□夜風
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部活が終わり帰り道。
いきなりのゲリラ豪雨に襲われた俺は近くの店へと立ち寄っていた。
その店の中で考える事は、氷帝の跡部さんのことばかり

そのおかげでグラウンド走らされるし
変なドリンクも飲むハメになっちゃったんだよね...。

この気持ちはどうすればいいんだろ

小さい頃からテニスばかりに熱中していた俺には“恋”なんて遠い存在だったからどうしていいなんてぜんぜんわかんない。

ちょうど雨も上がった。
外はもう暗くなっている。

あの人と初めて会った場所へと自然に足が動いた。

会えるかもしれない...
そんな希望を胸に抱いて。


いつだったけ...初めてあったのは
桃先輩がサボってたとき...だっけ

そんな事を考えていたらテニスコートについた。


『やっぱいるわけないよね...』

雨でアスファルトが濡れ夜のさらに少しひんやりとした風を感じた。

すると後ろから突然声をかけられた。

『おい、何やってんだよそんな所に座って』

後ろを振り向けば会いたかった人。

『あと...べさん?』

『どうしたんだよ動揺しまくりじゃねーか。あーん?』

『別に...』

正直俺様は驚いた...
なんだか気が向いたからテニスコートへと足を運んでいると
1人で青学の越前がいる。
これはチャンス...。

『てか、何でこんなところにきたんすか?』

『俺様の気まぐれだ。お前こそなんでいるんだ?桃城とも一緒じゃねぇし』


『なんか、いいことありそうな予感がしたからさ。』

『いいことってどんな事なんだよ』


『会いたい人に会えそうな気がした。』

会いたい人...。
もしもそれが俺様だったとしたら...
そんな訳ねぇよな...
いっそのこと告っちまおうか...
頭の中で色々と考える
もう少し探ってみるか...

『その会いたいやつとは会えたのか?』

『会えたっすよ』

『どんな奴なんだよ』

『とりあえず俺様で、テニスやってて、本当はすごい優しい人...』

徐々に俯きながら小さくなっていく声。
それに、俺は確信した。俺のことをいっているのだと。


あぁ言っちゃった
これで良かったのかは俺は知らない...本人は気づいたのかがとても気になる。

『おい越前付き合えよ。』

『いいっすよ。』

俺はてっきり、今の話をなかった事にするためにテニスをするのかと思い
ラケットへと手を伸ばすと

『違う。俺様と付き合えってんだ』

『付き合う...?それってさ跡部さんが俺のこと好きってこと?』

『あぁ、越前...お前のことが好きなんだよ。』

『本当に?』

いきなりの跡部さんの言葉に俺は未だ驚きを隠せない。

『...驚きすぎだぜ。返事はどうなんだよ。あーん?』

『だって、嬉しいっすもん...』

『OKなんだなそれは。』

『ういっす!』

『俺は本当は越前がここにいるのが見えたからきてみたんだぜ?』


『俺今、すげぇ嬉しいっす』

俺の初恋が実ってくれた。
こんなにも大好きな人と一緒にいれるだけでも幸せなんだよね。

『ほら越前帰るぞ。体冷えちまうぜ?』

ほらっと言って差し出された手を握り歩いた。

『ねぇねぇ跡部さん。俺忍足さんとかにね色々相談とかしてたんっすよ?』

『忍足...か。何聞いたんだよ』

『それは秘密。恥ずかしいじゃん』

『変なこと吹き込まれてないだろーなあーん?』

『あーもー!好きなタイプとか香りとか!!』

ムキになる俺を見て笑う跡部さん

『確かに正解だお前のシャンプーの香りは俺様の好きな香りだ』

『よかった。あ、オレの家あそこ。』


『寺なのか。』

『まぁね。跡部さん気をつけてね。』

『あぁ。明日青学に迎えに行くから部活後まってろよ』

『わかった。じゃーね』

手を振り跡部さんの姿が見えなくなった瞬間に
握られていた手を見て俺って幸せ...
なんて感じた...。

また明日と会えるなんて嬉しいな。


あの越前と、明日も会えるとは最高じゃねーの。

あのコートに行ってよかったかもな...

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