鳳宍短編

□ポッキーの日
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少し冷え込む風が吹いている中俺はいつもの屋上で昼食を食べていた。
だが長太郎は鞄をゴソゴソと漁っていた。

『弁当わすれたのか?』

『いえ。ありますよ。』

『じゃあ何探してんだよ』

返事がなく無視されたかと思いきやあったと勢いよく言い鞄から出てきたものはポッキーだった。

『それがどうかしたのか?』

『今日はポッキーの日じゃないですか。だからポッキーゲームしましょ』


...?ポッキーゲームという言葉を聞いたのは生まれて初めてだ。
ポッキーの日というのはテレビで聞いたな...

『それって何すんだよ、』

『やってみた方がわかりやすいと思うのでやりますね』

どうぞといい俺の口元にポッキーの先端を向けてきた。
わけも分からずそれを咥えたらあいつが反対側を咥えた
近くに長太郎の顔があることにより顔に熱が集まるのが自分でもわかった。

“動かないでくださいね”そういってポッキーを少しずつ食べ始めた。

今もう目の前に顔がある。
整ったあいつの顔をこんなに近くで見たのは初めてだ。
いつも目をつぶるから。その目を見たら逃げることも出来なかった。

そう頭の中で考えているうちに口が重なった。

『ちょ...たろ?』

『こういうゲームですよ。もっかいやりましょ?宍戸さん可愛かったなあ』

『いやだ!』

『ですよね...そういうと思ってましたよ。でも...あと1回だけお願いさ出来ませんか?』

『あーもう分かったから深刻そうに見んな!1回だからな?』

折っちまえばいいんだよなこの際...

『でも折れたりしたらまたやってもらいますからね?』

こいつ心読んでんのかよ...

『ったく分かったよ。』

また先程のように差し出された。
そしてまた長太郎の顔が近くなってくる。

また口が重なった
だがさっきとは少し違った。
なかなか口を話してはくれず息が苦しくなった。
握っていた手を強く握るとはなしてくれた

『はぁ...はぁ。』

ぺろっと唇をなめてにこっと柔らかく笑った

『ポッキーがいつもよりとても甘く感じました宍戸さんの力ですかね?』

『あーそうかよ。』

『拗ねないで下さいよ..』

『別にすねてない。』

拗ねてます...なんて言いながら俺の肩の上に頭を乗せた。

長太郎の可愛いとこだ。でも可愛いなんて言ってしまえば俺のこと可愛いって連呼するからめんどくさい。
だからあえて心の中にしまっとくぜ。

でも耐えれねぇ

『長太郎、飯食うぞ』

『わかりました』

そういって肩から頭をどかしてくれた。
その日の長太郎はいつもより機嫌もよかった。

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