不二リョ短編
□〇〇の秋
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『周助。まだ終わらないわけ?早くテニスしたいんだけど』
いつまでも本を読んでいる周助に俺は少し不満そうに問いかけた。
すると栞を挟み本をとじた。
『うん。分かったテニスしよっか』
『本はいいの?』
『構ってあげないとリョーマ怒っちゃうしさ』
そんなことを僕が言ったら彼は拗ねるように外へと飛び出した。
『リョーマったら。』
上着を着て続いて外へ出た。
『リョーマ待って。上着着ないとダメでしょ?』
『別にいいよ。周助は本読んでたら?』
『おこっちゃった?』
『だって本ばっかし。』
ふんと横を向いているリョーマ。
『読書の秋ってやつなのかな。』
『それを言ったらスポーツでしょ!』
『ごめんねリョーマ。寂しかったんだよね。日が暮れるまでやろうか 』
『自意識過剰なんじゃないの??まぁいいけど早く行こ。俺が勝つけどね』
『酷いなぁ。でも僕が勝つよ。』
冷たい風の中テニスを続けた。
デュースのまま試合は幕を閉じた。
『ボール見えなくなっちゃったね』
『そうっすね。まぁ続けてたら俺が勝ってたから』
『僕が勝つよ。』
そんなふうに互いに負けず嫌いなため俺が僕がと言い合っていたらリョーマのお腹からぐぅと音が鳴った。
『あ、 』
『食欲の秋かな?焼き芋のお店あるから食べに行こうか』
『お腹空くし、焼き芋?食べる!』
僕は嬉しそうな彼の顔を見て焼き芋を二つ買ってきた。
そして片方を手渡した
『ありがと』
その焼き芋は僕達のことを暖めてくれた。
『もうそろそろ帰ろう?送ってくから。』
『ねぇ、泊まっちゃダメ?』
『ん?いいよ。』
『明日もテニスするからね?』
『分かってるよ。』
そんな僕達の秋は色々な楽しみ方があった。