不二リョ短編

□迷い猫
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『ねぇねぇリョーマ今日帰り家に寄ってくれないかな?』


いつもは寄ってく?とか疑問なのだが今日はかなと語尾につけお願いされてる。
それに最近はそんなに話したりもすることが少なかった。

『いいけど。どうかしたの?』

『仔猫拾ったんだけど育て方よくわからなくて...さ』


ネコ好きな俺は少し嬉しかった。
周助も猫が好きになってくれるようで。

『わかった。』

そして帰りに周助の家に行き部屋に行くと子猫がいた。

『にゃぁ』

『なんか周助みたいだね』


心で思っていたことが口に出た。

『えー?どこがかな。』

答えなくてもどうせ吐かされちゃうから
もう今日は言っといたほうがいいよね。

『色とか優しそうな目してるとこ。』

『んー。たしかに色似てるね』

クスクスと笑う。

『あ、それでこの子どう育てよう...』


『これくらいまで育ってたら仔猫用のエサでだいじょうぶだよ?』


周助の足の間に居る猫がものすごくずるくみえた。
最近話したり抱き合ったりすることが少なくなっていた俺は異常に周助に触れたくなった。

そして無意識に猫を抱き上げ周助の足の間にちょこんと座り込んだ


『どーしたの?リョーマ。』

『......』

恥ずかしくて言えない...体が無意識に動いたから...ほんとなにやってんの俺は...


『言わないなら僕もどくよ?』

『言うから...だめ。』

うん。といい俺の話を聞きに入る周助...


『なんか周助の足の間に居る猫がすごい羨ましくなって...それに最近は周助にたくさん触れなかったら触りたくなったし...馬鹿みたいだね俺。』


すると後ろから手を回され抱き寄せられた。

『ごめんね。リョーマ...馬鹿なんかじゃないよ...それに僕すごく嬉しいそんなふうに言ってくれたからさ
まぁ、予想してた回答より嬉しかった...録音しといてよかったよ...』


『何録音してんのばか!!ちょっ消して!』

『嫌だよこれは僕の大事なモノになるね。』


こうやって周助とじゃれたりしている時間が何よりも楽しいし幸せ

そしてようやくデータを消すことが出来たリョーマは帰ることにした。

『じゃあね周助』

『うん。』

リョーマもまだ爪が甘いな...携帯に録音したのはバレてないみたいだよ...

するとドアのすきまから拾った子猫が出てきて

“にゃにゃあ”といって走っていった。

翌日そのことをリョーマに話すと

『俺に周助に触れるきっかけ作ってくれたのかもね』

そう早口で照れながら言っていた。

もしそうならば


ありがとうって言わなきゃね

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