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□#00-プロローグ-
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天人がこの江戸に降り立って、色々と変わった。
文化、街並、仕事...そして人々。
恐らく、あたしもその変わった内の一人であろう。
攘夷戦争によって全てといえる位にあたしは多くのモノを失った。
そんなあたしに残ったモノ。
それは父が残して行った一本の刀。
根っからの侍だった父に教えこまれた武士道。
幕府や侍の事しか頭になかった父は、あたしにそれしか教えてくれなかった。
母は攘夷戦争中に争いに巻き込まれ、天人によって殺された。
その時からあたしは一人になった。
天人とのくだらない戦争によって。
幕府とかにとっては重大な事だったんだろうけど、あたしにしてみればくだらない。
父によって鍛えられていた剣術。
あたしはあれから刀一本で生き抜いて行った。
絡んでくる奴、全てを斬っていった。
いつの間にかあたしには「人斬り」の異名がつき、手は血塗られていた。
「お前か?最近この辺りで暴れ回ってる悪ガキってのは」
『...誰アンタ。アンタも斬ってあげようか』
突然現われた一人の男。
そいつは二カッと笑うとあたしに近付いて来る。
「そいつは勘弁だな!どうだ、その剣の力、もっと他で生かす気はないか?汚ねぇ屯所ではあるが、歓迎するぞ!!」
この出来事があたしの中にあった世界の光となった。
彼らとの出会い、そして"あたし自身の物語"の始まり。
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→あとがき