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ーオニバス駅

目的地に到着したエルザ達は列車を降りる。話によるとエルザはこの町の酒場で鉄の森の魔導師達に会ったらしい。

「鉄の森の奴らはまだこの町に居るのか?」

「分からん。それをこれから調べる。」

「雲を掴むような話だけど…。」

「あれ、ナツとヒョウは?」

「ヒョウならここに居るぜ。」

「いつの間に!?」

「グレイは昔からよくヒョウの世話をやいていたからな。」

グレイはお姫様だっこで連れて来ていたヒョウを見せる。それにルーシィの突っ込みが入るが小さい頃から知っているエルザは驚く事もなく理由を説明する。

「じゃあ、ナツは?」

「…あー!!」

気絶したままのナツを列車に残してきてしまった事に漸く気付いたルーシィの大声が駅のホームに響き渡る。

「んんぅ…。あれ、グレイ?」

ルーシィの声に目を覚ましたヒョウはまだ覚醒しきっていない頭で視界に入ったグレイの名を呼ぶ。

「お、目覚めたか?」

「あぁ、ここまで運んでくれたのか。ありがとな!」

グレイはヒョウをそっと下ろすとふわりと笑うヒョウに悪戯を思いついた子供のような顔をする。

「それだけか?」

「はぁ?他にどうしろと。」

「そりゃあ…。」

グレイの手がヒョウの頬へと伸びそのまま顎を掴むとグッと引き寄せヒョウの唇に自分のそれを重ねる。

「んん…っ!!……んぅ……んむ…はぁ…。」

息が苦しくなったヒョウはグレイの胸を叩くがグレイは後頭部に手をまわしさらに深く口付ける。遂に耐えられなくなったヒョウが酸素を取り込もうとうっすらと開いた唇にグレイはすかさず舌をねじ込んだ。

「んぁ…グレ…ィ…はぁ…ん……むぅ。」

懸命に逃げるヒョウの舌をグレイのそれが絡め取る。腰が抜けたのか立っていられなくなったヒョウの腰に腕をまわし支える。暫くして満足したのかグレイは口を離すと二人を繋ぐ銀色の糸がプツンと切れた。

「はぁ…はぁ。な、にすんだよグレイ///!!」

「ご馳走様。」

ヒョウはグレイを睨み付けるがその目には薄っすらと涙が浮かんでおり頬が上気しているため怖いというより可愛い。そんなヒョウにグレイは唇についたどちらのとも分からない唾液を見せつけるかのように舐めとる。
さらに文句を言ってやろうと口を開くがその時ふとルーシィ達が近くにいた事を思い出し二人の声のする方を見た。

「話に夢中で忘れていた!取り敢えず私を殴ってくれないか!」

「まぁまぁ;」

エルザを宥めるルーシィの姿にどうやらこちらの様子には気付いていないようでほっと息を吐く。








エルザ達が列車を降りた後ナツはぐったりと座席の背にもたれ掛かっていた。そんなナツに近づく一人の男がいた。

「へぇー君、妖精の尻尾の魔導師なんだぁ。有名だよねミラジェーンあとヒョウ・レイフロもいたっけ。羨ましいなぁ…。」

「あ゛あ?」

突然話しかけてきた男は片足でナツの顔を踏みつけると今までとは雰囲気がガラリと変わった。

「正規ギルドが調子こいてんじゃねぇよ妖精さんよぉ。うちらお前らの事なんて呼んでるか知ってるか?ハエだよハエ。」

妖精の尻尾が貶された事に怒ったナツは起き上がるなり両手の拳に炎を纏わせるが乗り物のせいで直ぐに消えてしまう。

「はぁ?なんだその魔法。魔法ってのはなぁ…こう使わなきゃ。」

男の足元に魔法が現れたかと思うと影のようなものがナツを殴る。何の前触れも無く列車が急停車した。その衝撃で男の鞄から笛のようなものを落とした。

「なんだそりゃ?」

「見たな!」

「やかましい!さっきはよくもやってくれたな!」

列車が停まった事で復活したナツはさっきのお返しとばかりに男を攻撃する。男は自分の魔法で防ごうとするが威力を抑えきれず後ろに飛ばされた。

「くそ!てめぇ!!」

「ハエパンチ。」

してやったりな顔で男を見るももう直ぐ列車が発車することを車内放送でわかるや否やそそくさと立ち去ろうとする。

「やべ、逃げよ。」

「てめぇ待ちやがれ!鉄の森に手ェだしてタダで済むと思うなよ。」

「てめぇが鉄の森か妖精の尻尾を散々バカにしやがって今度は外で勝負しろや!!」

男の言葉に足を止めたナツは再び発車し出した列車にまずいと思い窓から飛び出す。丁度そこへエルザが運転する魔導四輪車が列車に追いついていた。急にナツが列車から飛び出したため屋根に乗っていたグレイに衝突し物凄い音と共に二人は落ちていった。

「いてーんだよナツ!」

「うるせぇ!よくも置いて行きやがったな!」

「すまない、だが怪我は無いようだな。無事でなによりだった。」

「ナツ、大丈夫?」

魔導四輪車を降りて駆け寄ってきたエルザの硬い胸にナツは頭をぶつける。はっきり言ってかなり痛そうだ。

「ったくよ、無事なもんか汽車で変な奴に絡まれたんだ。」

「変な奴?」

「なんつったかな?アイ…ゼンヴァルト?」

その瞬間ナツはエルザに思いっきりビンタを喰らう。

「馬鹿者ぉっ!!鉄の森は私達が追っているものだ!」

「そんな話初めて聞いたぞ。」

「なぜ私の話をちゃんと聞いていない!!」

エルザが気絶させたからなのでは?と思ったルーシィだがエルザの迫力にその言葉は飲み込む事にした。

「さっきの列車に乗っているのだな!すぐに追うぞ!」

「どんな奴だった?」

「あんま特徴なかったなぁ。そうだ髑髏っぽい笛持ってたな。三つ目がある髑髏。」

ナツから笛の特徴を聞くなりルーシィは何か考え込み始めた。

「三つ目の髑髏の笛…。」

「ルーシィ?」

ヒョウが様子のおかしいルーシィに声をかけるがルーシィは聞こえていないのか何やら呟いている。

「ううん…まさかね…あんなの作り話よ。でも、もしもその笛が"呪歌"だとしたら?…子守唄…眠り…死!!」

突如はっという顔になったルーシィは最悪の結論に顔を青くする。

「その笛がララバイよ!!呪歌…死の魔法!!」

「何!?」

死の魔法という言葉にその場にいた全員が驚きの声を上げる。続けて本で読んだ呪歌について話すルーシィ。その内容に鉄の森が何をしようとしているのかさっした一同は急いで魔導四輪車に乗り込む。

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