世界を彩る

□#15
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今にも殺さんばかりの視線を向ける彼は、三成に断罪されかけていたがどうにかさっき収めたところだ。
平和なこの世界で刃傷沙汰はとても面倒なもの、その旨を伝えると三成は渋々ながら刀を収めてくれた。


「裏切り者は腹を切れ!」


鬼も竦(すく)むような声音で吐き捨てた三成はどうやら彼になにか思いがあるようだが、それを時代の違う今に持ってこられても困るのだ。


「三成さん、腹を切られたら私が困るのでそれはなしです」
「そんなことは知らん!秀吉様を裏切ったのだ!!」
「知ってください。皆さんをそこらへんに放っておくなんて道路全体に地雷を埋めてるようなものなんですから」


迷惑だと遠まわしに伝える織星。
けれども怒り心頭な三成には残念ながら伝わらないようだ。
ため息をつき、すでに頭の中では三成の保護者に決定された吉継を見るが彼はフイッと視線をそらす。
なんとも幼稚な回避方法だが、そこから手も何も出ない自分がいるのだから厄介だ。


「もとは仲間なんでしょう?今くらいはその時に戻ってくださいよ」


呆れを含んだ声音で言えば、むぐむぐとなにか言いたげな三成。
そして申し訳なさそうに視線を行き来させる取り残された彼。
どうしようも収集がつかないそれに、織星はまたもため息をついた。


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