世界を彩る
□#01
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キョロリと視線を動かす孫市。
周りには戦国時代にはあるはずのないものが並んでいるはずだ。
西洋をイメージして統一された部屋は彼女にとっては未知であろう。
「そちらの金髪さんもちゃんと聴いて欲しいんですけど、今は400年後の未来、平成と呼ばれる世です」
爆弾のような織星の言葉に二人は目を見開いた。
しかし孫市はすぐに納得したのか、警戒を少しずつ解いていく。
しかしもう一人の金髪の彼女はむしろ警戒が濃くなっていた。
「信じられないですか?」
もしも自分が言われたなら確実に噛み付くだろうセリフを吐く。
信じられないからこそ、信じないのだ。
「信じられるわけがないだろう!謙信様を、置いてきてしまったというのか?!誰の差し金だ!!!」
激怒する姿はさながら子を失った母に等しい。
クナイを指に挟んで織星に向ける姿は一欠片さえも冷静ではなかった。
「信じられなくて結構です。ですが流血沙汰は辞めてください、デザイン画が汚れる」
そう告げた織星の目は、まるでガラス玉のように空虚だったと冷静さを取り戻した彼女が告げるのはまだ少し先のことであった。
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