自由への翼

□#09
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最初はそれをまるで新しいおもちゃのように喜んだが、すぐにそれは覆される。
肌からなにかが盛り上がるように、這うように皮膚の下から違和感を生む。
そしてその違和感が視界に異変として現れたのはすぐのことだ。
まずはシシーだった。
肌に荒い凹凸が生まれ、それが鱗へと変わっていく。
最初は恐怖からその鱗を剥いでいたが、その度にまた生えてくるそれを後半には諦めていた。
ただその肌を隠し、それこそ蛇のように薄暗がりで丸まるだけになった頃には全身にびっしりと鱗は生え揃っていた。


「シシー」
「…来ないで」
「なんで?」
「僕、気持ち悪い」
「気持ち悪くないよ、私達、友達だもん」


丸まるシシーを抱きしめて、センカはそう告げた。
沢山の仲間を失った寂しさと、自分だけが異色だという苦しさをその一言が打ち砕いたのだ。


「私は、シシーが大好きだよ。だから、私の友達をやめないで」


縋るような声でそう告げると、シシーはうるりと涙を浮かばせる。
嬉しさと苦しみからの開放が、なによりもその行動にさせたのだ。


「ずっと友達だよ。きっと私達は普通じゃないけど、三人でいれば大丈夫」


そう言ったセンカは、その腕に真っ白な羽毛を生やしていた。


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