世界を彩る

□#10
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男組、女組とそれぞれ部屋を分けて着替えさせる。
着方がわからないかと思いきや、案外何事もなく着れそうな四人にひっそりと手がかからなくてよかったと思った。
先に出てきたかすがと孫市。
あらかじめ渡していたブラトップのアンダーシャツのおかげで乳周りのすっきりした格好が可能となっていた。
だがやはりその豊満な胸元は苦しそうで、買い物ついでにサイズの合った下着を買わなければならないとひっそりと決めた。


「予想より似合ってて驚きだよ」
「そうか?」
「着慣れないから違和感があるな」


かすがに続けてそう言った孫市。
確かにあの服装と比べると胸元などには窮屈感もあるだろう。
しかしこればかりは慣れてもらわねばならないことだ。


「まあ、すぐにもっと合ったものを買いますから。好みもあるでしょうし」


そう告げてまだ出て来ない男組を待つ三人。
ドアの向こうからはかすかに布擦れの音が聞こえていた。


「ところで、」


そう言葉を発したのはかすがだ。
目線は真っ直ぐに織星の方を向いている。


「織星は着替えなくていいのか?」
「…着替えてきます」


かすがの言葉にハッとして自室へと戻る。
彼らに気を取られすぎてすっかり自分の事など忘れていた。
ちゃっちゃと着替え、ボサボサだった髪を軽く梳く。
かすがや孫市の服よりもあからさまにオリジナル臭の漂うそれは、しかししっかりとブランドのロゴが入ったものだ。
【BBfly】と記されたそのロゴに寄り添う蝶の柄。
それは織星左手首を一周する刺青と同じものだった。

***

出てきた男組を連れて家を出る。
家を出るのだが、もちろん歩きではない。
玄関に置きっぱであまり乗らない乗用車に久しぶりにエンジンをかける。
初めて聞くエンジン音に動揺する四人。


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