世界を彩る

□#07
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やや無理やりなところとあったが、どうやら全員が納得してくれたようだ。
ありがたいと思う反面、この時少々問題があることに気付いた。
彼ら、そして彼女らが持つ武器だ。
銃刀法違反の話をしていなかった訳ではないが、だいぶ軽く流してしまった気も確かにある。
身分を証明するもののない彼らが警察に厄介になるのは非常にまずい。


「とっても重要なことなんですけど、」


そんな切り出しで良いだろう。
四人の方を向いてさて伝えねばと腹を括った。


「今この世界は平和です。ごくたまに殺人事件もありますが、それはそれを捜査する人がいるので自警する必要もないです」
「ヒヒッなにが言いたい?」
「要は、武器の携帯が不必要ということです。むしろ、持っている方が罪になります」


吉継に背を押され、本題を口にするとかすがと三成はあからさまに顔を歪める。
こういう反応が来るのは想定内ではあった。
だがこうして目の前にするとやはり罪悪感やらが浮き上がってくるようだ。


「だが、殺人も起きているのだろう?」
「まあ、一日に数えられる程度ですけど。まあどの時代にもカッとなって殺ったってことはあるみたいですよ」
「死ぬ可能性がある以上、私は刀を手放す気はない!」
「死ぬ可能性ですか。ないわけではないですね、確かに。ですが平和ボケした現代人の殺人なんて、皆さんからしたらお粗末もいいところですよ。むしろ、素手で倒せるほどに今の人間は弱いですよ」
「なぜ言い切れる?」
「筋肉の付き、体幹的にも貴方達の方がしっかりしてます。運動不足が問題視されている現代では希に見るイイ身体ってやつですね。まあ、それだけしっかりしてれば避けて逃げるのも簡単ですよ」


スラスラと文字を読むように告げる織星。
その言葉は自分たち現代人を軟弱だと揶揄していて、皮肉っているようにも聞こえる。
まだ納得しきってはしないようなかすがと三成。
だが、その言葉を聞いた孫市は自分の銃を傍らに置いた。


「私はその言葉を信じよう」


そう告げた彼女の目は凛と真っ直ぐに織星を見つめていた。
気恥ずかしさすらも感じるその視線。
けれども納得してくれたという嬉しさもあり、ついつい笑みが溢れた。


「信じてくれてありがとう」


そう言葉にすると、孫市はフッと薄く微笑んだ。


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