抜き身に気を付けて

□#11
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浄化の作業をしたくとも、物理的に汚れていればまずはそれを改めなくてはならない。
勝手に本丸内の箒とちりとり、そしてゴミ袋を拝借した忍は審神者部屋と呼ばれる場所から掃除を始めた。
片手に刀帳をめくり、はてさてと出撃組を考える。
ブラック本丸としては珍しく、ちゃんとレベル上げのされた短刀たち。
折れた刀も少なく、数字の羅列だけ見れば文句など何一つない。


「使える審神者だったのにねー、残念」


ぱたりと刀帳を閉じ、もういない元審神者を惜しむ。
政府は年がら年中審神者不足だ。
余計なことで人手を減らすことは本当ならばやめたいところだがしかしそうもいかないのが現実。
畳の上に箒を走らせる忍はため息をつきながら現状を愁いた。
ちりとりに納められていく埃やら抜けた髪の毛やらを、忍は淡々と片付けていく。
本当ならこの本丸をまるごと焼き払って再建築した方がまだ楽だ。
だがそれができないのは、すでにこの本丸に根を張った刀剣男士があまた存在しているのもある。


「……こーんなもん?」


ある程度片付いたところで、部屋に神気を流し込めば浄化は完了だ。
空気の入れ換えをしたように雰囲気のよくなった部屋に忍は満足げに腕組みをする。
ふんす、と吐き出した鼻息は得意気だ。
真新しく感じる部屋に気を良くしていれば物音少なく現れた大倶利伽羅。
どうやら近侍は彼に決まったようだ。


「これからよろしく。そしたら早速だけど」


そう言って胸ポケットから紙とペンを取りだして書き始めたのは出陣と遠征を組分けしたものだった。


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